寄付と投資の共通点

意外に思うかもしれませんが、寄付も実は投資と同じ意味を持っています。寄付も投資と同様、「今すぐに必要としないお金を持っている人」が、「今すぐにお金を必要としている人にお金を回してあげる」行為であるという点では同じです。投資の場合は、回してもらったお金を使って事業をし、利益が出たらその一部をお礼として投資してくれた人に渡します。これが「配当」や「利息」と呼ばれるものですね。

寄付の場合は例えば災害に遭った被災者が暮らしに困っているのであれば、回してもらったお金で今の生活をよりよくすることができます。違いは投資では利益が出た場合に配当が得られる(もちろん無い場合だってあります)のに対し、寄付は寄付した相手からは“感謝”の気持ちは返ってきますが、お金が戻ってくることはありません。

寄付の思いがけない効果

ところが寄付には思いがけない効果があるのです。

私は寄付の大きなメリットは、「国に税金の使い方を指定すること」だと思っています。例えば震災や台風で被害を受けた被災地の人に寄付しようと思い、その地域で被災者支援の活動をおこなっている認定NPO法人に義援金として5万円を寄付したとします。この場合、所得税と住民税を合わせると2万4000円ほど税金が戻ってきます(※住民税は自治体によって異なります)。つまり実質的に自分が負担したのは2万6000円です。ところが義援金は間違いなく5万円分が渡っているのです。ということはつまり戻ってきた2万4000円分というのは税金から被災者に支払われているということになります。

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社会保険の場合は目的限定ですから保険料が何に使われるのかは一目瞭然です。ところが税金の場合、自分の払った税金が何に使われているのかがよくわかりません。ところが寄付することで自分が実質的に負担した2万6000円に加えて、自分が払った税金の中から2万4000円が支払われているわけです。これって税金の使い道を指定していることになりませんか? すなわち税金の使途が見える化されることになるわけです。これはとても良いことではないかと思うのです。