日本は高齢者よりも独身者が多い「独身国家」になる

【荒川】若い世代でもソロ(独身)が増えていくでしょうね。図表2は20年後の内訳を表した円グラフです。円グラフの右側が独身者ですね。2040年には15歳以上の人口が約1億人で、独身が4600万人。有配偶が5200万人ということです。日本は超高齢国家とかいわれていますが、高齢者人口は3900万人ですね。3900万人の高齢者よりも独身の4600万人のほうが多いわけですよ。

荒川和久・中野信子『「一人で生きる」が当たり前になる社会』より

だから、実は「日本は高齢国家ではなくて独身国家です」と言えるんじゃないかと思います。そういうことを、この間、経済産業省の方とお話ししたら、「なるほど」と言っていました。お役所は年齢で考えるから、あまり配偶関係で区分けをしないんです。では、グラフで高齢ソロ男と高齢ソロ女の数字を見てみましょう。高齢ソロ男は490万人、高齢ソロ女は1260万人ですね。

【中野】有名な話ですよね。独身の高齢男性の寿命が短いのは、おそらく配偶者と死別したからでしょう。死別したのちの男女の平均余命が違うからですね?

「生涯未婚率」が「50歳時未婚率」に変わった不都合な真実

【荒川】妻と離別や死別をすると、男性は余命が短くなります。逆に、女性は強いということですよね。当然ながら、未婚者も増えます。最近では、「生涯未婚率」という言葉は「50歳時未婚率」に変わりました。たぶん、「生涯未婚と言うんじゃない!」というクレームが入ったんだと思うんですよね。「50歳を超えても結婚できる人もいるだろう。可能性はある。だから生涯未婚なんて言うな!」みたいなクレームが。

【中野】どこから入ったんですか?(笑)

【荒川】わかりませんが、一般人から官庁にクレームが入って、厚生労働省が使うのをやめたと勝手に推測しています。僕に言わせると、50歳を超えて結婚できる割合は1%もないですから、生涯未婚と言ってもいいと思いますけどね。図表3のとおり、2015年の男性の未婚率は23%、女性が14%。2040年には、男性3割、女性2割です。男性の3人に1人、女性の5人に1人は生涯未婚となります。

荒川和久・中野信子『「一人で生きる」が当たり前になる社会』より