空気をよむと、心と頭の葛藤が大きくなり不調が体に出る

刺激を深く感じとる繊細さん。空気がよめるあまり「これはどうしたらいいんだろう」と考えすぎて、うまく対応できないことが起こりうる。体に不調があらわれて、初めて頑張りすぎていることに気づくことが多いそうだ。

「涙が止まらなくなるとか、マッサージしてもすぐに肩がこってくるとか、心の声を封じると体に出ます。もともと人間の心と体は一心同体。ところが心は『ああしたい、こうしたい』『好き、嫌い』と今ここに焦点を当てているのに対し、頭は『~しなければならない』『過去はこうだから……』と未来の予測を立てます。そして社会人になると『ここはこうしておいたほうが周りに喜ばれるだろう』と、頭で考えたことを優先させます。それは社会人として必要なことですが『忙しくてしんどい』と心が思っているのに『そんなこと言うな』と頭が蓋をしてしまうと、女性なら生理痛や肩こり、腰痛、肌あれといった形で体に症状が出るんです」(武田さん)

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そうなる前に周りに助けを求めることができればよいが、現実にはなかなか難しい。しかし伊是名さんは、助けを求めることは人とつながること、と断言する。

入退院を繰り返す絶望の中からつかみ取った幸せの本質

「まず人は一人では幸せになれず、誰かに褒められるとか励まされるとか、そういう関係性の中で幸せになると思うんです。私は小さい頃に入退院を繰り返して、そのときに絶望や挫折を味わって、自分から助けてって言わないとダメだな、味方が一人でも多くほしいなと思った。助ける人も一人だと共依存になるから、親や家族だけでなく、いろいろな人とつながらなきゃいけない。そうしているうちに味方が増えていきました。今、私が書く記事には賛否両論があって、バッシングする人もいるけれど、応援してくれる人もいる。それが自分でも感じられてネガティブにならず、幸せでいられます。味方が一人でも多くいることが大切ですね」

しかし人に助けを求めること自体が「迷惑をかけたらいやだな」「自分のわがままかもしれない」と思うのが繊細さんだ。

「もちろん私も迷惑かなと気を使うこともありますが、それはある意味、人をつなげるものだと思うんですよ。やはり誰でも頼られてうれしいという瞬間があると思うし、私も頼りたいというより、この人といっしょにいたいと思っていて、誰でもいいわけじゃない。だから助けてもらうときは本当に『あなただから』ということを自分の言葉で伝えるようにしています」(伊是名さん)

だからこそ、人を助けるときは、ためらわずに声をかけてほしいという。妊婦さんや高齢者の方に席を譲るのもそう。断られたら気まずいなと考えるのではなく、まずは声をかけてみる。そこから人とのつながりが始まるのだ。