中国人や韓国人は英語もできる

「彼らは英語ができるのも大きいんだよ、うちで働く中国人も韓国人もみんな英語ができる。ベトナム人もね。日本人のコンビニバイトにゃまずいないね」

まあそうだろう、英語の堪能な日本人がコンビニでバイトなんてよほど食い詰めてなければありえない、いや食い詰めても他の仕事につくだろうし、失業したから短期であっても仕事で英語が使えるほどならもっと割の良いバイトは見つかるはずだ。そしてアジア圏の留学生は堪能とまでは言えないまでも、日常英語くらいなら難なくこなす子が多い。

「そういうこと、だから安くて、優秀で、従順な外国人留学生のアルバイトがいくらでも来るから、一部の社員除けばもう日本人はいらないんだよね」

そこまで言い切るか、経団連の言い草そのままだ。ラフながら高級ブランドの小綺麗な服にラバーバンドの高級ダイバーズウォッチ、若作りにも見えるがさすがオーナーだけあって金回りのよさが伺える。コンビニオーナーというと自分も店に出て疲れ果てたおじさんというイメージだが、都心のオーナーは必ずしもそうではない。コンビニ経営も格差社会、とくに古くからの地主で複数の店舗を経営しているようなオーナーは羽振りがいい。ただそういったオーナーはコンビニ経営は事業の一部でしかなく、ビルや駐車場など不動産を中心に多角化している人がほとんどだ。こういう富裕層にとっては疫禍すら養分となる。

コロナ禍で日本人の応募が爆増も…

でも若くて優秀な日本人が来ないから外国人でスタッフを揃えるならそれはオーナーの方針、どうぞご自由にとしか言えないが、コロナで一変したという。

「それがコロナの影響かね、バイト募集してませんかって日本人の問い合わせがすごいんだよ。毎日来るよ」

それまでオーナー氏いわく、「まともな日本人には見向きもされないバイト」だったはずが、このコロナで仕事を失ったまともな日本人がコンビニバイトにも流入しているという。確かにコロナの影響で5月の完全失業者は198万人と200万人近くにのぼる(総務省、2020年6月30日発表)。また同年4月に600万人にも及んだ休業者のうち、7%が5月に失職した。実は翌月の6月の失業率は微減と改善しているのだが、これは自営業者が増加したため、仕事もないし自分でやるか、の消極的開業が多いのではないかとみる。年中募集中だった小売や飲食も自粛の影響とさらなる休業、自粛要請で以前ほどの求人は見なくなった。頼みの綱はコンビニというわけだが、そんな一昔前の雇用環境ではないという。

「もう外国人のバイトで埋まってるからね、どれくらい金が欲しいかスタッフが聞くとフルタイムで入って生活できるくらい欲しいってんだ。シフトそんなに入れられないからね、昔の感覚で来ちゃうんだろうね」

つまり、日本人が月に必要な生活費と考えれば、月20万は欲しい、それほどでなくても15万は欲しいだろう。ましてや都心と考えればそれくらいないと家賃、食費、光熱費、各種税金と考えれば生活できない。一昔前はコンビニの夜勤でガッツリ稼ぐフリーターなどもいたが外国人に取って代わられた上にコロナ禍の時代となり、かつての認識でコンビニならと応募してもはねられる可能性もあるということか。結局のところ、本音は最低賃金で文句も言わずに働く多国語のできる若者を都心で求めると必然的に外国人、とくに留学生ということになるのだろう。ここでも経団連の言い草そのまま、虫のいい話だ。