テレワークの効率性に気づきはじめた人々
いつの世も、映画やドラマをはじめとするエンターテインメントは、人生を豊かにするために欠かせない。コロナショックの発生によって、人々が外出できないことへのストレスを晴らすためにエンターテインメントを必要としていることが、これまで以上に明確になった。
世界的なパンデミックの発生によって、これまでに世界経済が経験したことがないほどの勢いで、必要とされるモノ・コトと、そうではないモノ・コトの違いが際立っている。
映画以外の分野に目を向けると、飲食業界の事業運営方式が急速に変化している。多くの事業者が店舗でのサービスを縮小、あるいは一時的に止め、テイクアウトやデリバリーを通した事業の運営を進めている。それは、ウーバーイーツなどのオンラインデリバリーサービスへの需要も押し上げている。
さらに、直接、注文した人に品物を手渡さず、“置き配”を行うことも増えている。感染対策のために人の移動が制限された結果、多くの企業や消費者が重視してきた接客サービスの重視性が低下し、人との距離を保ったうえで快適に生活を送ることがより重要視されはじめた。
つまり、多くの人々が、これまで必要と感じてきたことが、実はそうでもなかったと気づきはじめた。テレワークの導入はその典型例だろう。
コロナショック以前、テレワークの効果に懐疑的な企業経営者、従業員は少なくなかったようだ。しかし、ひとたびテレワークを導入すると、事務作業などがむしろ効率的に進むことに気づく人が多い。通勤時間を節約できるため家族との時間をより大切にできるようになったと感じる人もいる。それは、人々が幸福な人生を送るために重要だ。
その結果、コロナショック前の生き方にはもう戻れないと考える人が増えはじめている。すでにITスタートアップ企業ではオフィスの賃貸契約を解除したケースも出ている。逆に、そうした変化に対応することが難しかったり、これまでの価値観に固執し続けたりする企業は、競争に対応することが難しくなる恐れがある。
GAFA、BATHの社会的影響力と責任が拡大
コロナショックの発生は、経済全体で新しい取り組み=イノベーションを加速させている。その1つがデジタル技術の活用だ。
米国や中国では、オンライン診療の供給体制が強化されている。中国では感染対策と経済活動の両立のために、ITプラットフォーマーの成長促進が重視されている。経済活動のあらゆる分野において、デジタル化がこれまで以上の勢いで浸透し、GAFAやBATHをはじめ大手ITプラットフォーマーの社会的影響力と責任が拡大している。
企業はそうした変化に適応しなければならない。人の密集を避けなければならないという行動様式が社会全体に浸透した影響は大きい。わが国では、休業要請が解除された地域において映画館の営業が徐々に再開されている。
ただ、上映回数を減らし、左右2席以上空けて来場者が座る状況の中、これまでの収益性を維持することは容易ではない。対照的に、効率的な収益の獲得を目指して、米国を中心に映画作成会社はITプラットフォーム上での配信を強化するだろう。