グループLINEの中心人物が発言するまでは、みんな黙る

例えば、中学生女子10人のグループLINEがあったとしよう。その中のAが「山に行かない?」と書き込んだとしても、グループの中心人物Bが発言するまでは、みんなが黙るという現象はむしろ普通であるらしい。

Aにとっては、その間は「既読スルー」状態であるし、Bがひとたび「海」と言えば、様子見をしていた他8人は一気に「海」に流れ、Aの気持ちにモヤモヤだけが残るということになりやすいのだ。

また、最近の中高生の特性に、こういうことも感じてしまう。

「『傷つきたくない』という“過剰防衛反応”を持っている」

例を挙げるならば、こういうことだ。

花火大会に行こうと約束していた仲良し4人組がいた。ところが、A子だけが家の用事で行けなくなってしまう。他の3人は行けないA子に気を遣って3人のグループLINEを作成し、待ち合わせ場所などを決めていた。A子は偶然、自分を除いた3人だけのLINEが出来上がっていることを知ってしまう。A子はその時どうするか……。

多くの女子中学生に取材したところ、その答えの多くはこうだった。

<理由も告げずに自ら、そのグループをそっと離れる>

傷付けられるくらいなら、自分から去っていく。去られた側も特に理由は聞かず「ウチらが嫌なのね」と捉えて、スルー、あるいはA子を無視するのだそうだ。

これらは前述した思春期の特徴の上にSNSの弊害が上乗せされた出来事なのだと思われる。

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親がわが子のチャットトラブル防止にできること

では、私たち親はわが子にどのような点を注意すべきと教えればよいのだろうか。

「KDDIスマホ・ケータイ安全教室」の講師である田口実氏は、10代にチャットトラブル対策の講演をしている。その骨子は次のようなものだ。

<チャットのトラブル対策>
送信前に文章確認……誤解を生む表現になっていないかを確認して送信する。
想像力を働かせる……自分の都合で判断するのではなく、相手の状況をくみ取る気持ちを持つ。
会って直接話をする……ネット上で友達との関係が気まずくなった時は、相手と会って直接話をする。
<その他有効な方法>
チャットのグループに入る時、「親が厳しく、21時以降スマホは使用できない」と伝えたり、あらかじめグループ内でルールを作ったりする。