なぜ、LINEのやりとりはトラブルになりやすいのか
彼らは、いわゆる既読無視や未読無視というマナー違反を極端に恐れており、いつ、どのようなタイミングで、場の“ノリ”にふさわしい言葉を選んで応答すべきかの「空気を読む」行動に疲れている。
とても便利なアプリであるはずなのに、一方で他人の時間を搾取し、返事を強要するツールとなり、弊害が大きくなっているのだ。
通常、「人間同士のコミュニケーション」は言葉以外の表情や雰囲気を同時に読み取りながら行っていくものである。しかし、LINEのようなチャットは、そうではない。気持ちの赴くままに、ログを読み返すこともなく、多くは即座に短文の言葉を打ち込み、やりとりしているだけだ。リアルに顔を合わせているわけではないので、そこには相手の状況や気持ちをうかがい知る術がない。
そのため、ちょっとした行き違いで人間関係のトラブルになる。よくあるのがこういうケースだ。
A子:「明日カラオケ行かない?」
B子:「いいね~!」
C男:「俺も行く!」
A子:「何でくるの?」
「それは関係ないしね」と打つところを「それは関係ない死ね」
主語・述語が抜けやすい短文ツールであるためにC男は交通手段を聞かれているとは取らずに「お前は来るな! 空気読め!」というふうに自分が「否定されている」と捉える危険性があるということだ。その関係性によっては、簡単に亀裂が入ってしまう。
「かわいくない」(語尾を上げる「↑」を付け忘れるケース)
「それは関係ない死ね」(「それは関係ないしね」と書くところ、誤字になったケース)
など、チャットという機能は誤解を生じやすい媒体でもあるのだ。
会社の会議などでは、テーマ・議題に沿って発言内容を整理し、発言者が偏らないよう、順調に進行するような役割をするファシリテーターがいるが、グループLINEの極めて狭い閉鎖空間にそんな存在などいない。
ほんのささいなことがきっかけで、簡単に異端者、あるいは敗者を排除する動きにつながっていく。もし、これに気付いた子がいたとしても、群れ(仲良しグループ)を守ろうとする同調圧力にあらがうのは至難の業になろう。