次に、おのおの場合について看守がどういうかを考えていく。実際にAが恩赦される場合、死刑になるのはBとC。そうすると看守は「Bは死刑だよ」か、「Cは死刑だよ」というしかなく、それぞれの確率は2分の1となる。次にBが恩赦される場合、「Bは死刑だよ」と看守がいう確率はゼロ。「Cは死刑だよ」といわなければ、看守はウソをつくことになるからだ。結果、Cが死刑の確率は1になる。Cが恩赦される場合もそれと同じ論理で、看守が「Bは死刑だよ」という確率が1、「Cは死刑だよ」という確率はゼロとなる。

この6パターンの確率をそれぞれ求めると、Aが恩赦される場合にBが死刑の確率は「1/3×1/2=1/6」で、Cが死刑の確率も同様に6分の1。Bが恩赦される場合にBが死刑の確率は「1/3×0=0」で、Cが死刑の確率は「1/3×1=1/3」。同じように計算すると、Cが恩赦される場合、Bが死刑の確率は3分の1、Cが死刑の確率は0となる。

釈放される確率は最初と変わらない

前述したように、看守は「Bは死刑だよ」といっており、6パターンのうち考慮するのは、「Aが恩赦でBは死刑」(■)、「Bが恩赦でBは死刑」(★)、「Cが恩赦でBは死刑」(☆)の3つのケースだ。そして、知りたい答えはAが恩赦される確率なので、「■÷(■+★+☆)」で求められる。つまり、「1/6÷(1/6+0+1/3)=1/3」となり、囚人Aが釈放される確率は最初と変わらないことが証明された。

「確率」は中学・高校で習うが、苦手な生徒が多い。「確率で困ったら樹形図を書け」と私は教えている。全部のパターンを書き出し、それぞれの確率を求めていけば、時間はかかるが確実に解ける。

(構成=田之上 信)
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