難しいからこその結論

社会とのつながりとウェルビーイングに関する研究を調べてみると、構造的なつながりが多いほどウェルビーイングが高いという報告もあれば、機能的なつながりが多いほどウェルビーイングが高いという報告も存在します。しかし、ウェルビーイングに関連する要因をメタ分析したドイツの研究者は、「ウェルビーイングの高低に強く関連するのは、つながりの量(構造的側面)よりも質(機能的側面)である」と結論付けています。

つまり、機能的つながりは、死亡や病気といった、その有無や状態が客観的に判断できる事象に対しても、幸せのような主観的な事象に対しても、良い影響を持つわけです。

しかし、「それなら機能的つながりを強化したいが、どうしたらよいか?」と尋ねられると、実は答えに少し困ってしまいます。

これが構造的つながりであれば、人を紹介したり、(たとえ嫌がられても)自宅を訪問したり話しかければいいのですから、見方によってはその対策はシンプルです。

一方、孤独感やつながりの満足感を改善するのは一筋縄ではいきません。いえるとすれば、家族や友人、近所の人との交流を密にしながら、いざという時に頼れる関係を築くこと、そして、自分の世界を広げて様々な人と付き合って、自分にとって一番しっくりくる関係を見つけること、それが鍵になります。

ウォールディンガーの出した「質の良い関係を持つことが大事」という結論は、機能的つながりを強化する方が実は難しいからこそなのです。

(写真=iStock.com)
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