見た目ピカピカより、中身ピカピカに
かつて、私は上場を目指していた。上場益を社員に還元したかった。有名になって、にしはらグループという名前がピカピカに輝き始め、誇りを持てるだろうと考えていた。しかし、今は会社を筋肉質にして、中身をピカピカにしたいと考えるようになった。社員が「いい会社に入ったな」と思えるようにしたい。人間は追い込まれてはじめて、変身できるのだ。
うちは時給が少し高めなので、比較的何とかなっているが、地方の人材不足は深刻だ。もちろん、うちも厳しいには厳しい。これから、さらに人材獲得競争は厳しくなってくるはずだ。時給を一律30円上げたら、年間1000万円以上も人件費が増える。でもやるしかない。そういうゲームが始まったのだから。そして不謹慎かもしれないが、このゲームを楽しみたいと思っている。外食産業としては長い66年目だが、「老舗」と呼ばれる域を目指すのも、また面白そうなゲームだ。
(構成=荒川 龍 撮影=小川 聡)