小沢氏は7月30日に京都で行われた共産党・穀田恵二国対委員長のパーティーに駆けつけるなど共産党とのパイプは太い。自民党出身の小沢氏の政治理念や個別政策は共産党と相いれないが、選挙に勝つという1点で結ばれている。

小沢氏側近と言われた時期もあった小池知事

小池新党との協議について、小沢氏は24年前のことを思い起こしているに違いない。「第3極」を標榜する日本新党とさきがけを説得し、細川氏を首相候補に担いだことは先に書いた。さらに書き加えると、その日本新党には小池百合子氏がいた。小池氏はその後、新進党、自由党……と小沢氏と同じ道を歩み、小沢氏側近と言われた時期もあった。今は疎遠になっているが、小沢氏は小池氏の発信力を高く評価している。

7月27日、BS番組に出演した際も「政治的センス、感覚はすばらしい。知事選も都議選も絶対勝つと思っていた。都議選は、もっと候補を立てればもっと勝てた」と持ち上げ、「ここまではよかった。勝ってからが彼女の問題。そこが彼女も悩んでいると思う」と語った。国政に向けて決起を促しているようにも聞こえた。かつての成功体験を参考にすれば、小沢氏は非自民の顔として小池氏をくどくことも十分あるのではないか。

共産党と小池氏をつなぐ接着剤役となるか

小池氏は、現時点では2020年東京五輪・パラリンピックを都知事で迎えたいと考えている。このため、当面は知事をやめて国政に転出する選択肢をとるとは考えにくいとみられていた。しかし、野党側のトップとして「次の首相候補」として口説かれたらどうなるか。東京五輪を首相で迎えるという選択肢は、都知事で迎えるよりも、はるかに魅力的なはず。自身が顔になることで政権交代のリアリティーが高まると分かれば、決断する可能性も出てくるだろう。

2012年暮れの衆院選後に第2次安倍政権が誕生して以来、小沢氏の影は、すっかり薄くなった。10数人もの番記者を引き連れて歩いていたかつての威圧感はない。数々のスキャンダルに巻き込まれたことや、独断専行と批判された政治手法など、負の遺産は今も引きずっている。ただ、共産党と小池氏という、水と油の両者をつなごうとした時、接着剤役となるのは小沢氏以外見当たらないのも、また事実なのである。

(写真=時事通信フォト)
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