粋な賢者になるための条件
さて、賢者とは何か。pixiv百科事典(http://dic.pixiv.net/a/賢者)ではこのように定義されている。「なぜpixivなんだ、河崎……」と顔をしかめる読者の皆さんの姿が見えるようだが、アニメやマンガにも造詣の深い麻生太郎氏を論じるとなればpixivこそ最適、ファンタジーに関しては最もネットの「いま」の感覚が反映されていると信じて引用する。
“賢者とは、知識人や見識に優れた人物のことを指す。(中略)賢者になるには想像(を)絶する修行かもしくは天啓が必要とされ、誰しもがなれるとは限らない職業である(中略)ドラゴンクエストシリーズでは、ドラゴンクエストIIIが初登場。魔法使いと僧侶の呪文を両方覚え、武器もある程度使えるという万能職。ただしレベルアップのための必要経験値が他の職業に比べて多く、レベルが上がりにくいという欠点も持つ。その優秀で万能な能力ゆえに通常の方法では転職できず、「悟りの書」というアイテムを使わねばならない。例外的に遊び人だけは悟りの書を使わずとも転職可能だが、これは「贅沢快楽を極める事で現世の欲の虚しさを悟る」という仏教の観念を表しているものと思われる。”(ピクシブ百科事典「賢者」 )
「修行もしくは天啓が必要」「贅沢快楽を極める事で現世の欲の虚しさを悟る」。それって……まさに太郎ちゃんじゃないか! 元首相、現財務大臣を太郎ちゃん呼ばわりするのもアレだけど、そんな大それた失礼も、あのクールな洒落っ気で「面白いんじゃないの?」と懐深く許してくれそうな人に思えるのだ。
ジャパンを代表する粋な政治家
否定しようのない育ちの良さと、あえてのお行儀の悪さが絶妙なバランスを保つ、ちゃめっ気の塊。洒脱とはこの人のために存在するような言葉だ。あちこちで引用されているWikipediaの一節では、「名門の一族に育ち、財閥の元社長であるが、本人は『首相の家庭なんて幸せなもんじゃねえ』『両親にほったらかしにされて育った』『生まれはいいが、育ちは悪い』と語っている」とある。「90歳が65歳に遺産相続してどうする?」「サブカルを理解できない議員が大勢いるのが問題」など、まさに清濁の味を共に知るがゆえの小気味よい麻生節に、若い世代からも共感が集まる。
以前、地方創生に取り組む倉敷市長の伊東香織氏にインタビューした時、「麻生さんだけが、クールジャパン関連の会議で同席すると毎回私のご当地ファッションに気づいて褒めてくれる」と話してくれた。また、別のインタビュー取材では、野田聖子氏が自民党のシニア政治家について話をする中で、「“あの麻生太郎”だってもう70代ですよ!」とその名を特に取り上げた。その時に私が感じたのは、真に力のある優れた女性政治家たちが、同じ政治家としての先輩・麻生太郎氏に寄せる、根本的かつ絶大な信頼だ。彼女たちが政界を懸命に泳ぐ中で麻生氏の名前が共通して出てくることに、「たらし」のような軽薄なレベルをはるかに超え、才能や理念のある人間をしっかりと信頼感でつなぎ、握りしめ抱きしめる人間力を麻生氏に感じさせられたのだった。