東大生の父親の73.2%は管理職・専門技術職
東大生の家庭の年収分布が一般群と大きく隔たっていること、富裕層に著しく偏っていることが分かりました。まあ巷でよく言われることですが、グラフで見てしまうと唖然とするものがあります。ちなみに東大生の父親の73.2%は管理職・専門技術職で、こちらも一般群と大きく乖離しています。
社会の指導者予備軍の階層構成が、国民全体と大きく異なっているということです。私は、両者はなるべく近似するのが望ましく、政治家の何%かは層化抽出(くじ引き)で選んだらどうかと考えていますが、図1をご覧になって皆さんはどう思われたでしょうか。
それはさておき、東大生に富裕層が多いのは、幼少期より多額の教育投資が求められるためでしょう。ちょっと古いですが、2013年春の東大・京大合格者の半分は、国・私立高校の出身者です(拙稿「子供の学力より経済力が学歴を決めるという真実」『プレジデント・ファミリー』2014年5月号)。
国・私立高校の出身者は高卒者全体の3割であることを考えると、最高学府の合格者輩出率は、公立よりも国・私立高校で明らかに高いといえます。多くが、(小)中高一貫の私立です。
言わずもがな、これらの学校に通うには多額の費用がかかります。早期受験が盛んになっていますが、小・中学生の家庭の年収分布を公立と私立で比べると、図2のようになります。
私立中では52.9%、私立小では実に61.2%が、年収1000万以上の家庭の子弟です。スゴイですねえ。奇しくも、図1でみた東大生の家庭の年収分布と近似しています。
富裕層は、子を早いうちから私立校に入れ、有力大学に送り込む。そしてやがては、高い社会的地位につかせる。業績主義を建前とする現代社会にあっても、親から子への富(地位)の「密輸」があることに、われわれは気づかないといけません。早期受験(お受験)は、そのツールとして機能している面もあります。
こう書くと、裕福な家庭の子どもは、親の経済力だけで有力大学に入っているように思われそうですが、そうではありません。彼らは、試験でも高いアチーブメントを収めています。親がカネをかけて塾通いさせたり、家庭教師をつけたりしているからだろう、と言われるかもしれませんが、それだけではありません。そうした経済条件とは別に、家庭の文化環境の影響も考えられます。