メキシコ市場で中国車はシェア20%

ロシアに次いで多いのが、メキシコをはじめとする中南米だ。58万3000台が輸出され、そのうち32万7000台がメキシコである。

メキシコは日欧米メーカーが工場進出しており、自動車生産・輸出大国である。しかし生産されている車種は主として北米市場向けの車種であり、メキシコの一般庶民の需要をすべて満たしているわけではない。低価格車ニーズを中国製の安価な小型車が満たしているというわけだ。

メキシコ市場は年約150万台なので、中国車は20%ほどのシェアを持っていることになる。メキシコでは現地生産を行っている日系ブランドが強く約4割を占めるが、それに続く大きな勢力となっているのだ。

驚くべきは中国車の半分はGMブランドであることだ。GMと上海汽車と広西汽車集団3社の合弁会社である上汽通用五菱汽車で生産しているモデルを、メキシコでシボレーブランドとして販売しているのだ。ちなみに上汽通用五菱汽車は一時話題となった45万円のEV、宏光ミニEVを生産している会社である。

新型トヨタEVのbZ7。上海モーターショーにて。
筆者撮影
新型トヨタEVのbZ7。上海モーターショーにて。

サウジアラビア市場ではトヨタ34%、中国勢15%

続いて台数の多い地域は中近東である。中近東での中国製ICE車の販売は2023年で39万8000台、日本製の32万2000台を大きく凌いでいる。

日系メーカーはアジア諸国で生産したモデルの販売も多いので、トヨタは依然としてサウジアラビア市場の34%のシェアを持ち、トップブランドである。しかし中国勢は合計すると15%あまりのシェアになるため侮れない存在に成長している。

中近東での主な輸出先はサウジアラビアとアラブ首長国連邦である。アラブ首長国連邦は高級車だらけというイメージがあるが、外国人労働者も多いため低価格車の需要も大きいと考えられる。