輸出される中国製BEVは全体の17%に過ぎない

中国製BEVは輸出されているが、現状ではその数は想像されるより多くはなく、2024年のデータでは98万7000台と輸出台数全体(585万9000台)の17%を占めるに過ぎないのだ(データ:IEA Global EV Outlook 2025)。

つまり、中国から輸出されている車の83%はICE(内燃機関)を搭載していることになる。PHEVは約5%に過ぎないので、78%は純粋なICE車なのである。

しかも前年比で見るとBEVは10.4%と大幅減となっているのに対し、ICE車は23.5%も増加しているのだ。BEVが減っているのは、欧米の輸入規制の影響だろう。

視点を変えれば、中国国内のICE車市場は大きく縮小しているわけで、ICE車を生産しているメーカーは輸出にシフトせざるを得ない状況になっているともいえる。だからこそ中国車の輸出は増え、その主力はICE車、というわけだ。

中国製ICE車はロシア一国で73万5000台も

中国製のICE車、日本で見たことのある人はほとんどいないであろう。しかし数字を見る限り、世界における中国製ICE車の存在感は無視できないレベルだ。

2023年の数字だが、日本のICE車の輸出台数は251万9000台、対して中国は266万台で、ICE車だけに限っても、中国は日本を上回っているのである。

日本ではまったく見かけない中国製ICE車、果たしてどこで売れているのか。一番の伸びを示しているのはロシアである。2023年、ロシア一国で73万5000台もの中国製ICE車が売られているのだ。

ロシアはウクライナ侵攻の影響で日欧韓メーカーが撤収してしまい自動車不足に陥り、その大きな穴を中国車が埋めた恰好だ。ウクライナ侵攻前、日系ブランドは約15%のシェアがあったのだが、それを中国車に奪われたともいえる。