小学生のプレゼン資料が美麗すぎた

私がトヨタに入社した2005年時点では、もうワード・エクセル・パワーポイントによる資料作成が当たり前の時代になっていた。「トヨタ文字」をマスターする研修は当然なかったし、倉庫から発掘することがなかったら、書体の存在自体を知らないまま働いていただろう。

しかし、「ロスト・テクノロジー」ならぬ「ロスト・スキル」「ロスト・ノウハウ」として、「資料の清書スキル」なるものが、確かに存在していた時代があったのだ。

もう1つ、資料作成にまつわるエピソードを共有したい。

私は今マレーシアに住んでいて、2人の子供(小学生)をインターナショナル・スクールに通わせている。先日、長男の授業参観があり、テーマは「旧石器時代」に関するプレゼンテーションだった。

発表スライドを見て、驚いた。Canva(キャンバ)を使って作成されたそれは、正直、私が普段パワーポイントで作成しているものよりも美麗で、動画や写真も活用したリッチなつくりになっていた。

先生や息子いわく「すべて自分で作った」らしい。にわかには信じられなかった。

私が初めてパソコンでスライド資料を作ったのは、大学生になった2001年頃だ。あれから20年。今や、小学生が大人顔負けのプレゼン資料を、ゲーム感覚で作成できる時代になってしまった。

教室でノートパソコンを使用している小学生
写真=iStock.com/Djavan Rodriguez
※写真はイメージです

ロスト・スキル化する資料作成技術

2つのエピソードが示唆するのは、次のような未来予測だ。

「今度は従来のワード、エクセル、パワーポイントによる資料作成力が、ロスト・スキルになる番なのではないか」

2005年当時、「トヨタ文字」の大先輩は、こうも仰っていた。

「まあ、今となっては、年賀状を書く時くらいしか役に立たないけどね」

あれから20年が経ち、今や、手書きで年賀状を書く習慣すら消滅しつつある。これまで磨き続けてきた資料作成スキルは、一体あと何年で無力化するのだろうか。