トップは芦別市生まれの齢90
アークスを率いる横山清会長は1935年、北海道芦別市の生まれ。高校卒業後に炭鉱で働きながら学資を貯め、北海道大学水産学部に進学。「恵迪寮」の寮長を務めるなど、若い頃からリーダーシップを発揮してきた人物だ。卒業後は水産物商社・野原産業に入社したが、同社の小売進出に伴って1961年にその場しのぎでスーパー(のちのアークス)に配属された。1985年に社長に就任後、M&Aで地盤を広げつつ「八ケ岳連峰経営」を標榜し、北海道から東北、関東へと営業エリアを拡大してきた。
アークスは、北海道・東北の食品スーパーをM&Aで傘下に収め、スケールメリットを武器に成長してきた。価格を引き下げるローコストオペレーションを貫き、消費者に「割安感」を届ける手腕に長けた企業である。2025年2月期には、初めて連結売上高6,000億円を突破し、業界内外に存在感を示した。
食品スーパー業界では、ライフコーポレーション、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)、フジ、ヤオコーなどに続く大手グループの一角を占めており、地方発の企業としては異例の規模と影響力を誇る。
すべてを安くするわけではない「納得価格」
だが今、そのアークスにも逆風が吹く。物価高と人件費の上昇により、2025年2月期の営業利益は前年同期比5.3%減、純利益も6.0%減に沈んだ。古川公一CFOは「米の値上がりを含め、消費者の価格に対する視線はますます厳しくなっている」と語る。
今後は単なる安売りではなく、品質に見合う価格を掲げる「納得価格」戦略に舵を切る。横山氏は「スーパーはインフレファイターだ」と言いつつ、「裏付けのない安売りは天に唾するようなもの」と語り、安易な値下げ競争に加わることを戒める。猫宮一久社長も「味、鮮度、品質という裏付けがあっての価格で、どこよりも安いことが大前提」と語る。
Amazonとの提携も進めるEC戦略
アークスはスーパーの共同仕入れ機構CGCの有力加盟企業として、同グループのPBである「ショッパーズプライス」や「断然お得」を積極的に活用する。これらはCGC全体で共同調達・開発された商品群であり、アークス単独のPBではないが、自社店舗での訴求力を高める柱として機能している。
冷凍食品など簡便ニーズへの対応も進めており、2025年2月期には、ECサイト「アークスオンラインショップ」の売上高が前年比45%増と好調だ。ネットスーパー事業は、アークスグループの中でもラルズが中心となって展開し、2023年12月からAmazonとの提携により「Amazonネットスーパー アークス」をスタート。札幌市や北広島市を対象に、ラルズの実店舗で扱う生鮮食品や惣菜、CGCのPB商品など約9,000品目を最短2時間で届ける。
SNSでは、生活者からの声も散見される。5月11日には「本日、アークス月1の米10%オフの日、さらにポイント10倍で110ポイント」との投稿、13日には「備蓄米は『キタノイロドリ』(ななつぼし+きらら)。税込3,435円。NHK札幌は品薄スーパーばかり取材するが、潤沢なアークスをなぜ取り上げないのか」といった声も。さらに15日は「米が高値、品薄というけど北海道のアークスグループは頑張ってる。備蓄米なのか5キロ3200円とかあるし」り、地元の信頼がうかがえる。


