優秀な人は何が違うのか。デロイト トーマツ コンサルティング出身で経営コンサルタントの権藤悠さんは「私がデロイトに入社できたのは過去問を解きまくった結果だった。入社してみるとポンコツで解雇寸前まで行った。そこで周りの優秀な方々を観察した結果、共通点があることに気づいた」という――。

※本稿は、権藤悠『頭のいい人になる 具体⇄抽象ドリル』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

話し合う二人のビジネスマン
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※写真はイメージです

何度も言われた「ちゃんと考えてる?」

「ちゃんと考えてる?」

社会人になってから、何度も言われてきました。たとえば、資料を上司に提出したときはこんな感じです。

私「書きました!」 
上司「矛盾が多い!」
私「直しました!」
上司「全体の流れがわかりにくい!」
私「流れを直しました!」
上司「構造的になってない! まとまってない! 余計な情報が多い!」

そして、上司は言うのです。

「ちゃんと考えてる?」

新卒で入った会社で、採用人事として働いていたときも同じです。1日13面接はして、どんどん人材を渡していました。けれども、やっぱり言われてしまうあの言葉。

「ちゃんと考えてる?」

よく考えて推薦しろと、事業部長に怒られる日々でした。自分としては、「え……?」という感じです。なぜなら「自分はデキる」と思っていたから。

デロイトでは解雇寸前まで行った

受験生時代も学生時代も、それなりに成果を出してきました。だけど、今になって振り返ると、それらは圧倒的な行動力によってもたらされていただけでした。

受験勉強は、参考書の問題をひたすら解いて乗り越えました。とにかくたくさん問題を解いて、答えを覚えるんです。ちゃんと自分の頭で考えていたというよりは、体にしみこませていく感じです。

外資系コンサルティング会社であるデロイトに転職できたのも、過去問を解きまくった結果です。デロイトでコンサルタントをしていたと言うと「すごいですね」と言われることが多いのですが、実際はかなりポンコツでした。現に、冒頭でお伝えした資料の例は、デロイトに入ったころのやりとりです。

そんなポンコツぶりだったので、デロイトでは解雇寸前まで行きました。「権藤は仕事ができないから、まずいんじゃないか」という空気が出来上がって、役員面談をすることになったのです。

けれども、その面談で役員の方は優しく諭してくださいました。「年齢とか役職とか関係なく、周りの人ができていることを観察して、冷静にアドバイスをもらって勉強してごらん。それをやり続けたら成長するよ」と。

それから、私はおかしなプライドを捨て、ゼロから学ばせていただくつもりで、周りの優秀な方たちを観察することにしたのです。「頭のいい人は、どういう思考法をしているのだろう?」と。

そして、たどり着いた答えが「頭のいい人はみんな、具体・抽象力がある」ということだったのです。