スープに「骨の感じ」があるからラーメンだ
お客さまから煮卵はないの? と聞かれることがある。僕は、卵の黄身にスープを汚されるのが嫌で使わない。半熟の黄身がスープに流れ出すことを想像したくない。
煮卵自体が嫌いというわけではない。ほかの店に行けば食べる。しかし僕のラーメンには格好がよくないと思っている。
スープについては、比内地鶏や霧島高原純粋黒豚などの肉も使っていると話すと、「今後は、鶏ガラや豚の骨を使わない、さらに澄んだ旨みのある高級なスープの方向性が考えられますね?」という質問をいただく。
確かに肉の旨みは強い。肉だけで成立はする。しかし、肉だけだとリッチにはなるけどラーメンらしくない。僕の中ではあまり格好がよくない。
スープに骨の感じがあるからラーメンだ。味の構成として骨がもつコク、骨だからこそ出せる味、これを生かすのがラーメンだと思う。
「かんすい」なしでは面白くない
あとは、かんすいだ。弾力のある中華麺をつくるために使う、中国で生まれた食材だ。
現在市販されている一般的なものは、添加物として嫌うお客さまがいるのは事実。しかし、昔から食べてきたラーメンは、かんすいくささがラーメンらしさだった。かんすいがあったからこそ、スープの味が乏しかった時代もおいしく食べることができた。
鶏ガラなどを使ったスープはどうつくっても酸性になる。ここに炭酸ナトリウムや炭酸カリウムの強アルカリのかんすいのアルカリが、麺をゆでても抜けきれない状態でスープに入ると、スープに厚みが出る。
これこそがラーメン感だと僕は思っている。ラーメンスープにうどんを入れたところでラーメンにはならない。やっぱり、かんすいなのだ。無かんすいでラーメンもありだとは思うが、それはもったいない。ロマンがない。
