「ラーメンの原点」を忘れない
雑誌などの取材を受けることがある。麺やスープの話をすると、「ここまでこだわった材料を使っているなら、麺とスープだけの素ラーメンもおいしそう。なぜやらないのですか?」と、聞かれることがある。
それもありだとは思う。しかし、僕にとってチャーシューや海苔はラーメンの中でのご馳走だ。いつ食べようか、といつもワクワクしながら一杯のラーメンを楽しむ。これがラーメンだ。
僕のしょうゆラーメンには2種類のチャーシューが入る。1つは、豚のバラ肉を凧糸で巻いて、スープをとる際に寸胴に沈め、とろとろになるまで煮て、さらに醤油で味つけをする。いわゆる伝統的な煮豚のチャーシューだ。
こういう昔ながらのラーメン屋の仕事も、きちんと残していきたいと思っている。ここにラーメンの原点があるからだ。
もう1つが、豚のロースを、コンベクションオーブンを使って低温で10時間かけて調理したもの。
最初に、「ぬちまーす」という沖縄県の海塩を肉にふる。この塩はマグネシウムの成分が多いので水をふくむと少し発熱するから、肉がぽかぽかと温まって開く感じになる。そこにメインの味つけのクリスマス島の塩をふる。粒が細かいのでよくすりこんで、1日置いておく。
味つけは、この2つの塩だけ。
“脇役”も大切
肉は、霧島高原純粋黒豚、TOKYO X、天城黒豚。これらを生産者さんから1頭単位で仕入れている。
骨とモモ肉はスープに使う。ロースとバラ肉はチャーシューにする。その肉は、2週間程度は真空状態でねかせて、旨みが最高潮に達したときに使う。
メンマとネギは名脇役だ。一杯のラーメンをおいしく食べすすんでいくときに、なくてはならないもの。食感の違いの楽しみだったり、口の中をリセットしたり。
だから、メンマは3本だけを盛り付ける。どさっとは入れない。
キリッとした醤油の味つけで、コリコリッという食感に仕上げてある。水煮や調理済みのものではなく、乾燥メンマを台湾から仕入れて、程よい硬さに戻して調理したものだ。

