オーバーストアによる競争激化だが、行政にも影響大
ただ、急成長の一方で、課題も少なくない。まず、オーバーストア化による競争激化と利益率の低下。そして調剤薬局併設に必要な薬剤師の確保や、専門性の担保が難しいという問題もある。
さらに、OTC医薬品の保険適用除外など、制度改正の影響にも備えねばならない。また、政府が進めるセルフメディケーションの推進は、社会保障費や医療費の抑制という国家的な課題とも直結しており、ドラッグストアはその受け皿として期待されている。前出の鈴木氏も「再編により業界が効率化することは、健康・医療行政だけでなく、医療費削減の観点で国の財政にも直結する。行政にも大きな影響力を持つようになるだろう」とみる。
JACDSの塚本会長は「生活者が納得できる制度設計が前提」としながらも、セルフメディケーション推進のチャンスと捉え、薬剤師や登録販売者の資質向上とガイドライン整備を急ぐ方針を示す。
さらに、ドラッグストア各社は調剤やOTCの販売を通じて顧客の服薬履歴や健康状態などのデータを蓄積しており、これらの情報を適切に活用すれば、医療機関との連携や、国の医療制度を補完するプラットフォームとしての可能性も広がってくる。
コンビニよりもドラッグストアが小売主役になる理由
これからの時代、国民一人ひとりが健康をマネジメントしなければならない。「まず病院」から「まずドラッグストア」へ――その転換は、時間や費用といった生活者の制約に即した合理的な選択でもある。
塚本会長は、「健康と美容の課題解決と便利さをミックスし、顧客ニーズに対応してきた。ドラッグストアは“生活の最初の選択肢”になるべき存在だ」と語る。
10兆円を超えた今、その先にあるのは“単なる小売業”の枠を超えた地域密着型プラットフォームとしての姿である。コンビニを超える日は、単なる数字の逆転ではない。生活の最前線を担う主役が、静かに、しかし確かにすり替わろうとしている。
