グローバリゼーション3.0

ジャーナリストのトーマス・フリードマンは、グローバル化の進化を描いて世界的ベストセラーになった『フラット化する世界 経済の大転換と人間の未来』で次のように書いた。

グローバリゼーション1.0では、国が、グローバルに栄える方法か、最低でも生き残る途だけは考えなければならなかった。グローバリゼーション2.0では、企業が同じように考えなければならなかった。いまのグローバリゼーション3.0では、個人が、グローバルに栄えるか、せめて生き残れる方法を考えなければならない。

アメリカでも日本でも、会社はある意味、効果的な社会福祉制度として機能してきた。右も左もわからない新卒社員にも給料が払われ、仕事に失敗して大赤字を出しても生活は保障され、加齢にともなって生産性が落ちても給料は上がっていく。

だがいまやM&Aは日常茶飯事になり、歴史のある大企業が消滅しても誰も驚かなくなった。かつては親子三代が同じ会社に勤めることも珍しくなかったが、いつのまにか会社の寿命は個人の人生よりも短くなった。

互助会的福祉制度は会社の永続性を前提としているが、肝心の会社がなくなってしまえばどのような忠誠も報われることはない。

会社にしがみついていれば、会社とともに沈んでいくだけだ。会社を中心に人生を設計できる時代は、ずっとむかしに終わってしまったのだ。

クラウド化する世界

サラリーマンに駆逐され、いやいや「自由」を手にしたアメリカのフリーエージェントたちだが、案に相違して新しい境遇はそれほど悪いものではなかった。

会社勤めの最大のストレスは社内の人間関係だが、組織から離れてしまえば不愉快な上司と顔を合わせなくて済む。無意味で退屈な会議に長時間拘束されることもないし、理不尽な指示や叱責を耐え忍ぶ必要もない。

日本では総会屋担当や談合の責任者になった社員の逮捕が相次いだが、アメリカでも違法な業務や反社会的な行為の強要を退社の理由に挙げるひとは多い。

フリーエージェントの最大の特権は、会社の就業時間に縛られることなく自分の時間を管理できることだ。自宅にいても仕事をしなければならない反面、家族で過ごす時間がずっと増えることは間違いない。