社会人は大学生に「勝って当たり前」の歴史

「社会人vs.大学生」で有名だったのは日本ラグビーフットボール選手権大会(1960~2021年)だろう。ラグビーの「日本一」を決めるという名目で、長きにわたり社会人チーム1位と大学チーム1位が対戦してきた(途中から複数チームが参加するトーナメント形式になった)。社会人と大学生の対決は2016年まで延べ97試合が行われ、社会人チームの82勝14敗1引分だった。

陸上界でも実業団・学生対抗大会が1961年から開催されており、63戦して実業団の57勝6敗という成績だ。

実業団からすれば大学に勝つのは当たり前で、勝ったところで特に称賛されるわけではない。逆に負けた場合は、非難を受けることになる。リスクを考えると、実業団が大学と対戦するメリットはほとんどない。

青学大・原監督は2月27日に開催されたイベント〈adidas ADIZERO Special Talk〉後の囲み取材でも、エキスポ駅伝に出場する実業団チームに“注文”をつけている。

「大学チームはどんどん留学生を使っても良いけど、実業団チームはしょうもない施策で留学生を使うようなとぼけた政策、絶対するなよ! 実業団はハンディのなかで逆に使うなよ、と。それくらいの気構えでやってほしい」

大阪・関西万博開催記念 ACN EXPO EKIDEN 2025(エキスポ駅伝2025)オフィシャルサイトより
大阪・関西万博開催記念 ACN EXPO EKIDEN 2025(エキスポ駅伝2025)オフィシャルサイトより

エントリーリストを見ると、大学チームに留学生の登録はなし。一方、実業団は9チーム中6チームが外国人選手を登録している。

エキスポ駅伝で外国人競技者を起用できるのは4区(5.4km)もしくは6区(4.7km)になる。大半のチームは4区での起用が濃厚で、日本人選手は30~50秒近い差をつけられることが予想される。レースの行方は外国人選手を擁する実業団チームが優勢といえるだろう。

そもそも外国人選手を雇っているチームからすれば、コストをかけているわけなので、起用しないわけにはいかない。そんな状況で、原監督の“声”は実業団チームに届くのか。