抑制できたはずだった価格競争力の低下
ショルツ政権下で脱炭素・脱原発・脱ロシアの三兎を追うエネルギー戦略を推進してきたのは、事実上、Grünenのロベルト・ハーベック副首相兼経済・気候保護相だった。ロシア産化石燃料、特に天然ガスへの依存度が高かったドイツの産業構造に鑑み、SPD出身のショルツ首相は当初、ロシア産のガスの利用削減には慎重だった。
しかしEUがロシア産化石燃料の削減を決めたことや、ロシアが化石燃料の供給を削減したことを受けて、ドイツも非ロシア産ガスの調達を強めざるを得なくなった。ここで仮に石炭火力発電の削減テンポを時限的に減速させたり、あるいは原子力発電の稼働の延長を積極的に行ったりしていれば、ドイツのエネルギー価格の急騰は抑制された。
しかしショルツ政権は、脱炭素・脱原発・脱ロシアの三兎を追うエネルギー戦略にまい進したため、他のユーロ圏諸国に比べても深刻なエネルギー価格の上昇に苛まれた(図表2)。こればかりではなく、労働者の所得引き上げを重視したショルツ首相らSPDの指導部が、分配政策の強化を断行した。端的な例は、最低賃金の大幅な引き上げだ。
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