仕事における師匠、いわゆるメンターは、上司や先輩だけでなく、同僚や部下の中からも見つけられる。現代の「360度型メンタリング」を成功させるにはどうすればよいか。

上下左右、複数の人々から学ぶ姿勢を持とう

15年前、組織の中でいわゆるメンターを見つけようと思ったら、自分より上の役職の人から探すのが普通だった。だが組織がフラットになった今、理想的なメンターは、むしろ同輩や部下の中にいるかもしれない。

ボストン大学ビジネススクールの組織行動学教授で、『The Handbook of Mentoring at Work』(2007)の共同編集者でもあるキャシー・クラムは、「かつては、『メンターを1人見つけよう』とアドバイスしていました。けれど、今は、『あなたのキャリア開発に積極的に関心を寄せてくれる5、6人のネットワークを築こう』と呼びかけています」と語る。

しかし、それは簡単なことではない。公式のメンタリング・プログラムの成功率は、せいぜい5割といったところだ。組織の中でのメンタリングも、片方、もしくは両方が幻滅したり、不満を募らせてしまい、効果が出ないことが多い。メンタリングの成果を挙げるためにはどうすればよいのだろう。