代替されづらい医師でも淘汰される可能性

よく、「AIが人間の仕事を奪うのではないか」などといわれますが、本当にそうなのでしょうか。2015年に発表された野村総合研究所とオックスフォード大学との共同研究の結果によれば、「日本の労働人口の49%がAIやロボットで代替可能になる」と試算されました。

特にAIが得意とする、「パターン化できる(決められたルールに則って行う)職業」は、急速に奪われていくでしょう。具体的には、レポートの作成やデータ入力、経理、銀行の窓口、倉庫作業などです。

一方で、身体や精神にかかわる仕事や創造力が必要とされる職業は、AIが代替するのは難しいと考えられています。具体的には医師やインストラクター、美容師やカウンセラーなどです。

だからといって医師は安泰かといえば、全然そんなことはありません。AIによる画像診断の技術は進歩しています。今までのように検査データを見て、診断して薬を出すだけの医者は淘汰されるでしょう。

今後は人間の持つコミュニケーション力が問われる

AI時代に医師が求められることは、より原始的なスキルになるはずです。原始的なスキルというのは、コミュニケーションを大切にしたスキルということ。「この患者さんの体質にこの薬は合わないから、別の方法を考えよう」

「飲む薬の種類が増えてしまうから、量を少し調整しよう」

といった具合に、一人ひとりの患者さんの状況に合った判断ができることが医師の価値となるわけです。患者さんの不安を察知して、安心してもらえる説明ができるなど、まさに「人間的な診察ができるかどうか」が医師として生き残る条件になるでしょう。

医者と患者のイラスト
イラスト=まつむらあきひろ

日本は「少子化が問題だ」とあれやこれやと少子化対策をしていますが、私は意味がないのではないかと思っています。AIが普及すれば仕事は確実に減るのですから。