AIで便利になったらボケは加速するのか
「世の中が便利になると、自分で考える機会が減ってボケが加速するのではないですか?」
そんな質問を受けることがあります。一面的な見方をすれば、AIによって生活が便利になり、今より頭も体も使わなくなれば、身体が衰える可能性はあります。
ですが、生活全般が便利になれば、新しい刺激を受ける機会が格段に増えるはずです。今まで行けなかったところへ行ける、新しい生きがいが生まれる、できなかったことができるようになる。「人生を楽しめている」という喜びは、脳を活性化させます。
それこそ、自動運転の車いすで好きなところへ自由に行けるようになれば、感動的な景色を見たときに、「もっと景色を堪能するために、がんばって歩いてみようかな」なんて気になるかもしれません。
ちなみに、「自動車の免許を返納すると、6年後の要介護率が2.2倍に上がる」というデータがあります。普通に考えれば、車を運転したほうが歩く機会が減って足腰が弱ってしまうはずですが、実際には逆の結果が出ているのです。
実際、車が必需品となっているような田舎暮らしのシニアと、車を必要としない都会暮らしのシニアでは、田舎暮らしのシニアのほうが元気に見えます。
AIも上手く利用すれば人生に大きな価値を生み出せる
田舎暮らしのシニアは車によって行動範囲が広がり、おのずと社会参加の機会が多くなります。対して、都会暮らしのシニアは足腰が弱ると途端に外に出なくなってしまい、結果として心身ともに衰えが加速してしまうのです。
毎日、同じリズムで生活し、同じお店で買い物をして、同じ作家の本ばかり読んでいる。そんなルーティン化した生活は、脳には退屈なものです。
特に前頭葉は、ルーティンなことをしてもさほど活性化しないことがわかっています。車のようにAIを上手に活用して生活に刺激を加えれば、前頭葉の活性化につながり、ハツラツと楽しい人生を送れるはずです。
AIを使う大事なポイントは、「自分がイキイキできるか」ということです。
社会参加のきっかけになる、できなかったことができるようになる。こうしたプラス体験が増えることで「長生きも悪くないな」と思えるようになるのなら、AIはあなたの人生に大きな価値を生むでしょう。