1~2年でつなぎ、5~10年で固定

【深野】ちなみに、かつては半年ごとに金利が見直される「変動金利型定期預金」もあったのですが、超低金利が長期化したので各銀行とも取り扱いをやめてしまいました。

そのために、今の商品ラインナップなら金利上昇局面では“つなぎ”として期間が短い定期預金を使う。具体的には数カ月〜1年物です。そして、いざピーク圏が近いと感じたら、5〜10年物の定期預金に入れてください。(図表1)

【ウエノ】なるほど。短い定期でつなぎながら、金利のピークを“狙いにいく”感じですね。

【深野】実際には、金利がどこでピークをつけるのかは未知数です。ただ、ピークをつけたときになるべく長期間で定期預金を固定できると、その後は安全・確実に高金利で運用できるわけです。

こうした方法で得をした人がバブル時代にはたくさんいました。本書の第1章で「バブル期の人たちは高金利に慣れすぎて、うまく低金利時代にシフトチェンジできなかった」と話しましたよね? 実はそこには、「あえてする理由もなかった」という側面もあるんです。

「政策金利1%超」が目安になる

【ウエノ】どういうことですか?

【深野】仮に、かつての高金利時代のピークだった1990年頃に10年物定期預金を契約した場合、その契約期間が切れるのは2000年頃です。つまり、その間ずっと高金利の恩恵を享受できたわけです。「利息収入があるのだから、あえて株なんて買う必要はない」と考えるのが普通でしょう。いわゆる「果報は寝て待て」というわけです。

【ウエノ】たしかに……。なんて羨ましい。では、金利のピーク圏をどう狙えばいいんでしょうか?

【深野】やはり、政策金利が1%を超えてきた頃が目安ですね。今後、政策金利が1%まで上がってくれば、一部の銀行では恐らく、長期10年物の定期預金で2%台という水準の商品まで出てくる可能性が高いと思います。

【ウエノ】単純計算だと、100万円を預ければ毎年2万円が手に入るわけですもんね。バカにできない収入!

【深野】ただ、実際には金利収入には約20%の税金がかかるので、手取り額は1万6000円程度になります。金利が高くなるほど、税引き前と税引き後の差は大きくなるので、何か計算をする際には税引き後を基準に考えたほうがいいですね。

【ウエノ】なるほど。ぬか喜びを避けるためにもそうします!