※本稿は、シム・ファルギョン著『3人の娘をハーバードに合格させた 子どもが自ら学びだす育て方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
勉強は仕事と変わらない
「ママ、私、work全部やったよ!」
ここで言う「work」とは勉強(study)のこと。やるべき勉強をすべて終えたという意味だ。
今は慣れたが、アメリカに移住してから初めてこれを聞いたときは、「仕事をやったって?勉強してたんじゃないの?」と思った。大人は、勉強を仕事だと思っていない。だから、子どもにはきつい仕事をせずに生きられるよう、勉強をたくさんさせようと考えているのだ。しかし、実際には子どもたちの言う通り、勉強は仕事と変わらない。
長女のヘミンが博士論文を書いていた頃、平日は朝8時に起きて夜9時まで勉強していた。そして週末は趣味や個人的な用事にあてていた。文字通り、勉強を仕事としていたのだ。それでも、楽しそうに過ごしていた。
大学卒業後に日本で1年間働いたヘミンが、大学院に合格してこう言った。
「ママ、自分が好きで勉強してるだけなのに、お金までくれるなんて、すごくラッキーじゃない?」
当時、ヘミンが入学した修士・博士統合大学院課程は、学校職員と見なされていたため、学費免除はもちろん、寮費を含めた生活費まで支給されていた。そんなふうに、自分が楽しくてやっている勉強にお金を出してくれるというから、大喜びしていたのだ。
大学受験の準備は小学生のうちに終わらせる
実力を蓄え大きく成長するためには、勉強は絶対に必要だ。その基本を作るのに最適な時期は小学生の時期だ。他のことはともかく、勉強に関しては小学生のうちにすべてが決まると言っても過言ではない。
うちの娘たちも、勉強の基礎をその時期に身につけた。では、どうすれば勉強ができるようになるのだろうか。答えは簡単だ。たくさん時間をかけて勉強すればいいだけだ。
しばしば、SAT(大学受験のための統一試験)の準備はいつからすればいいのかと聞かれることがある。小学生のうちに準備を終わらせるべきだと言うと、誰もが信じ難い顔をする。多くの高校生が、SATのために塾に通い、家庭教師をつけるなど、ほとんどの時間を勉強にあてている。中学生から塾に通う場合もある。
だが、1つ押さえておくべき点は、高校時代は子どもが成長する過程のなかで、小・中学校時代に見つけた才能を発揮し、それを深めて成果を出すべき時期だということだ。そんな大切な時期に受験勉強のために時間を無駄にし、他のことに使うべき情熱を浪費するのは、どれほどもったいないことか。小学校の時期こそ、勉強できる時間が有り余ってはいないだろうか?
しかし、どうすれば小学生がじっと座って勉強できるのだろうか? 活動的で創造力が育つこの時期に、座って勉強ばかりしていていいのだろうか? さまざまな疑問が浮かぶだろう。結論から言うと、それは可能だ。だが、親の頭を切り替える必要がある。