愛子天皇実現に連なる国連の勧告
思わぬ形で、日本は愛子天皇実現の方向にむかわざるを得なくなった。
10月29日、国連の女性差別撤廃委員会は日本政府に対する勧告を含めた最終見解を公表した。
その勧告では、夫婦が希望すれば結婚前の姓を名乗ることができる「選択的夫婦別姓」を可能にするよう民法改正を進めるとともに、皇位継承における男女平等を保障するため、皇位は男系男子が継承すると定めた皇室典範を改正することが求められている。
現在の皇室典範では、第一条で、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と規定されている。この規定が女性差別にあたるというのである。
国連が選択的夫婦別姓導入のための民法改正を勧告するのはこれが4回目である。皇位継承のことについては初めてになる。2016年にも、そのことを勧告に盛り込もうとする動きがあったものの、日本政府が抗議することで、それは削除された。しかし、今回は勧告に含まれることとなった。
女系天皇容認論への強い反対
これに対して、林芳正官房長官は同月30日の記者会見で、勧告において「皇位継承にかかる記述がされたことは大変遺憾だ」と述べ、同委員会に強く抗議し、削除を申し入れたことを明らかにした。
政府は勧告が出る前にも、同委員会において、皇室の問題をそうした形で取り上げることは適切ではないと反論していた。
また、「皇統を守る国民連合の会」の会長である葛城奈海氏は、同委員会でスピーチを行い、「天皇は祭祀王だ。ローマ教皇やイスラムの聖職者、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ法王はみな男性なのに、国連はこれを女性差別だとはいわない。なぜ日本にだけそのように言うのか」と発言した。この会は任意団体で、女系天皇容認論に強く反対し、戦後に臣籍降下した11宮家の皇族復帰を求めている。
勧告は法的拘束力を持つものではないので、ただちに日本が皇室典範の改正を行う必要はない。だが、その方向にむかわなければ、同委員会は、次の機会にも同じ勧告を行うはずである。それは、一定の圧力になる。
勧告が出た後、葛城氏は、産経新聞の取材に対して、「毅然と『国家の基本』を継承していく姿勢を貫くべき。勧告はスルーして構わない」と述べている。