※本稿は、矢部裕貴『学校に行けない子どもの気持ちと向き合う本 その子にあったオリジナルの未来を見つけよう』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「なんで?」と聞いても子どもは具体的に話せない
子どもが行き渋りになると、大人は理由を知りたいので、「なんで?」「どうして?」と最初に理由を聞いてしまいがちです。
でも、実際のところ、子どもは自分でもわかっていないケースが多くて「なんか嫌だから」「なんか怖いから」と言いがちなんですが、そこにあるのは理由ではなくて、ただただ嫌、怖いという印象だけだったりします。
親がわかっておきたいのは、子どもは具体的に話せないということです。
小さい子ほど語彙力はなく、今自分に起こっている問題を言語化することができません。
親は何かしら納得したいので、そして理由がわかれば解決できるかもしれないと思って、原因追及とばかり問い詰めがちですが、うまく説明することができない子どもにしてみれば、尋問されているような気持ちになります。
そして、ちゃんと説明できない自分、親を困らせてしまう自分をダメだと思ってしまい、自分を責めてしまうことすらあります。
だから、ここでも大事なことは「理由」ではなく、「子どもの気持ち」を聞くこと。これが信頼をつくっていく聞き方です。
「理由」ではなく「気持ち」に寄り添ってあげる
子どもの答えが「なんか嫌なの」だったら、「そうか、嫌なんだ。校門のところから嫌なの?」と、嫌という気持ちに共感し、寄り添ってあげる。
すると段階的に、「どうして嫌な気持ちになったのかな?」と聞けるようになるので、「そんなことがあったから嫌な気持ちになったんだね」と受け取ってあげる。
理由が何なのかというのは正直どうでもよくて、大事なのは、子どもが言った気持ちや思いをちゃんと受け取ってあげるということ。
そうすると、子どもはわかってもらえたんだとなって本音を言おうという気持ちになってきます。
親子の信頼関係が築けるからですね。
これを子どもが行き渋りだした初期の頃にやって、続けていくと、子どもはお母さん・お父さんはわかってくれるとなって、相談してくれるようにもなってきます。