マーケティングや経営学などビジネスに直結する本は溢れている。だが周りをあっと言わせるアイデアを、誰もが知る事実やセオリーから考えても結局似たり寄ったりになってしまう。人と違う発想をするには、一見ビジネスと結びつかない分野の視点を取り入れることが有効だ。サイエンスはその要求に応えてくれる。

サイエンスの基本は、物事を筋道立てて考えることだ。これをビジネスシーンに置き換えれば、論理的に考え、わかりやすく話をすることに当たるだろう。プレゼンや議論が苦手な人は、論理学やゲーム理論に関する本で論理の種類やパターンを学ぶといい。

論理を操るのが脳だ。池谷裕二さんの本は読みやすいながらも記憶のメカニズムを科学的に解説する。さらに、近年の脳科学研究でもっとも注目されているのが「ソーシャルブレインズ」である。これは脳が他者との関係性の中でその機能を発揮できるという点に着目したもの。組織内、組織間のコミュニケーションのあり方を考えるきっかけになる。

マーケティングを担当する人には「ネットワーク科学」の考え方を解説した『複雑な世界、単純な法則』が役立つ。ある商品をヒットさせるには誰に向けてメッセージを発信すればいいのか。全体の何割が購入したら周りも購入するのか。世界をつながりで捉える手法を知れば、見えないものも見えてくるかもしれない。