――いやいや、メジャーで新人王を獲った日本人メジャーリーガーは、イチロー選手以来、17年ぶりです。

「もちろん、(新人王を)獲れたことは嬉しいんですけど、僕の中では1カ月、戦線を離脱したことのほうが印象に残ってしまって、ずっとモヤモヤしています」

二刀流を1年間やっていく難しさ

――それでも日本でプレーしていたときよりもずいぶん早く、メジャーに二刀流を認めさせた感じはありませんでしたか。

「認められたのか、認められていないのかは、まだわかりません。仮にピッチャーに絞ってメジャーへ行っていたら、このくらいのレベルのピッチャーは珍しくないと思われていたかもしれませんし、2つやっていたからユニークでいいよね、絞るのはもったいないよね、と思われていただけかもしれません。両方のポテンシャルを高いレベルだと認めてもらっているかどうかというのは、まだわからないと思います」

――メジャーで2つをやっていく上で、理想の形は見えてきましたか。

「そこはチームとして、シーズン前にこのくらいやってほしいという量を、1年間、全うするのが理想かなと思います。ピッチャーとしてローテーションを守る難しさもあると思いますし、1年間、バッターで出続ける難しさもある。その難しさはそれぞれ別のことで、2つを1年間やっていく難しさも、また別のところにあると思います。

だから2つやることと、1つを1年間やり続けることのどちらが難しいかというのは、絞ったことがない僕にはわかりません。ただ、メジャー2年目はバッターとして長くプレーすることになりますし、1つを続ける難しさが少しわかるかもしれません」

――今、「2つを1年間やっていく難しさ」と仰いましたが、具体的には?

「チームに(アルバート・)プホルス選手がいて、DHとして僕と併用されるとなれば、その中でバッターとしての能力を見せなければなりません。だから、DH枠の左バッターとして自分の地位のようなものを上げていかなければなりませんでした。

ただオープン戦でそれができなくて、それでもピッチャーのほうはわりと評価してもらっていたので、とにかくシーズン中にバッターとしての地位を上げていかなければいけなかった。

そこは2つをやっていくために僕が1年目にやらなくちゃいけなかったことで、結果的に(ピッチャーとして戦列を離れたことで)バッターとしての出場が多くなって、それなりの成績も残せたので、そこは唯一、2年目につながる、よかったところだったと思っています」