オシラサマ、河童、狐――岩手県・遠野の郷の伝承をまとめた『遠野物語』。約100年前に遠野地方出身の佐々木喜善が語り、柳田国男が筆記、出版された“日本民俗学の出発点”を、現代の世に鯨庭が漫画で結び直す。
夫を想うあまり肉体から抜け出る女の魂、殺されても仕方のない河童の子、馬に嫁いだ娘――など、集められた話はすべて、只の怪談ではなく実際にあった出来事。
これらの物語を読んだとき、あなたは実感する。西洋化によって変化してきた価値観と、それでも変わらない日本人の根源的な精神性や、人間社会の課題を。
2024年9月に発売された『遠野物語』から、「河童の子 後編」をお届けする。