「お買い得か」より「いい会社か」

田島氏にこれからM&Aを検討し、譲り受ける側の立場に立つ読者の方にアドバイスを聞いた。

スピカコンサルティング食品業界支援部『VALUE UP 成功事例でわかる業界特化型M&Aと企業価値向上戦略 食品業界編』(クロスメディア・パブリッシング)
スピカコンサルティング食品業界支援部『VALUE UP 成功事例でわかる業界特化型M&Aと企業価値向上戦略 食品業界編』(クロスメディア・パブリッシング)

「まず健全な会社の譲り受けをお勧めします。私の基準では、営業利益が10%以上ある会社が1つの目安です。そのような会社は安定しており、すぐに倒れる心配がありません。それだけに安くは買えないですが、お買い得かどうかという観点ではなく、その会社が“いい会社”かどうかが最優先です。

そして、そのような会社をいくつか譲り受けて得たノウハウや自信をもとに、次のステップとして赤字企業の再生などに挑戦すると良いと思います。赤字会社の再建に対しては立て直すまでに時間がかけられず、迅速な対応が求められるため、リスクも高くなります。そのため、まずは成功しやすい環境で経験を積み、段階的に難易度の高い案件に取り組むことをお勧めします」

田島氏のケースのように、うまくM&Aを活用し成長を続けた企業にも、事業規模に応じて成長痛(経営課題)が訪れる。本書では、そうした伸び代となりうる経営課題を「M&Aによる企業価値向上を考えるタイミング」として第4章にて解説し、M&Aで成長痛を解消する手段と注意点を紹介している。

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