医療崩壊したのに死亡率は低下しなかった「夕張の奇跡」

私はかつて、財政破綻した夕張市で「財政破綻による地域の医療崩壊」を目の当たりにしました。

自治体の財政破綻により、市内に一つしかなかった病院である「夕張市立総合病院」が閉院となりました。

具体的には、市が破綻して財政再建団体になったことで、171床を持つ市立総合病院が、19床の有床診療所と老健(介護老人保健施設)に縮小されました。

夕張市が提供できる医療は「町のお医者さん」的なイメージの医療だけになったのです。

その結果、患者数や死亡率が急増するのは時間の問題だと思われていました。

最新医療は必要不可欠なものではない

ですが、夕張市で起きたのはまったく逆の出来事でした。

医療が崩壊したことで、結果的に「不必要な医療」「無駄な医療」が減りました。

また、訪問医療の利用が増えたこともあって、むしろ医療崩壊したのに死亡率は増加せず、患者さんのQOLも向上するという結果になったのです。(詳しくは以前の記事をご覧ください)

私はこの体験から、「最新医療が必ずしも人々の健康にとって必要不可欠ではない(そこにこだわりすぎてしまうとかえって本来最も大切な「その人の人生・生活の質」が低下してしまうことが多い)」ということを学びました。

私はこうした観点から、今回のコロナワクチンの接種推奨については当初から懐疑的な目で見ていました。

最新医療は必要不可欠なものではない
写真=iStock.com/show999
最新医療は必要不可欠なものではない(※写真はイメージです)