「節約、節約」とは口ばかり。欲しいものを次々に買っていませんか。消費欲を上手にコントロールする方法を学びましょう。

買い物したい衝動にかられた時、辛抱するにはどうしたらいいですか?

とりあえず、1カ月待ってください。仏教ではさまざまなストレスを引き起こす諸悪の根源を「煩悩」と呼びますが、売り場では、思わず買いたくなるような陳列や告知で、この「欲しい、欲しい」という煩悩をたき付けているわけです。店員さんは買っていただくことが仕事ですから、あなたの煩悩をたき付けるような言葉を使うのがとても上手です。まずは、そこから離れてみる。すると、たき付けられた熱が徐々に冷めて、余計な買い物をしなくて済みます。

期間限定の商品で1カ月も待てない? そんなときは売り場を離れて、15分ほどお茶を飲んではいかがでしょう。それだけでも、ある程度はしのげます。

しかし、この方法は対症療法にすぎません。目の前に商品が現れたら、また「欲しい、欲しい」と煩悩に苦しむことになります。これはお金にとらわれ、負のスパイラルにはまっている状態です。そこで、もっと本質的に煩悩に打ち勝つ方法として、おすすめしたいのが「お金(消費)の断食」です。

断食とは、ご存じのとおり、一定期間意図的に食を断つことで「食欲」という欲を克服する修行です。断食により、必要最低限の食事でも満足することを目指します。これをお金に当てはめたのがお金の断食。

しかし、この断食のやり方を説明する前に、「自分はなぜ節約・貯蓄するのか」を考えてみてください。目的を持って貯蓄しなければ、リバウンドしてかえって浪費のもとになってしまうからです。

目的を見定めたら、断食に入りましょう。方法は簡単です。年間生活費が一番低かった月の金額から、さらに2~3割程度引いた予算を1カ月の予算とし、最低でも1カ月、できれば2~3カ月暮らしてみるのです。煩悩にとらわれた負のスパイラルから脱出する期間でもありますから、我慢が続きそうにない人は、煩悩がかき立てられる場所に行くのは極力控えましょう。

断食後、毎月少しずつ生活費を増やしていきます。この「回復食」の期間に、わが家は現実的にどのくらいの金額があれば暮らしていけるのか、どれくらい貯められるのか、という適正値が見えてきます。7割では生活できなかった、というときには増やして調整していきます。私の場合、最終的に8割で落ち着きました。ということは、2割は生活に必要なお金ではなく、無自覚に使っていただけだったのです。このように、断食では自分のお金の使い方、無駄遣いや贅沢に気づくことができます。

そして回復食の期間には、断食して絞った生活費の中から、自分が使っていいお小遣いを再設定しておきましょう。ここで大事なのは、お小遣いでもある程度は自分が満足できる金額を設定するということです。少なすぎるとストレスがたまるので、必ず反動が来ます。「今だけ半額」といった宣伝文句にひっかかりやすくなり、不必要なものを買ったりして、かえって散財してしまうのです。