遺産問題は楽しい人生の邪魔になる
日本では、個人の金融資産の6割は高齢者が所有していると言われています。
比較的大きな資産がある人は、そのうちの一部、あるいは大部分を子どもや孫たちに遺そうと考えているのでしょうが、残りの人生を楽しいものにするためには、「遺産は一切遺さない」ことにして、それを早めに表明しておくことが大事だと私は考えています。
お金が絡むと誰だって欲が出てきて当然なので、できるだけたくさん遺してもらおうという思惑が働かないとは限りません。
そうなると、あなたのお金の使い方にいちいち口を出してくることにもなりかねず、それが楽しい人生の邪魔になるのです。
だから、遺産を遺そうなどと考えず、たとえ子どもや孫をがっかりさせることになったとしても、あなたのお金はあなたの人生を楽しむために使いましょう。
下手に遺産を遺そうとしなければ、余計な家族間のいさかいを起こさずに済むので、変に気を揉むこともなくなります。
「頼れる人」のリストアップは早めに
頼りたいときに簡単に頼れるというのがセーフティネットの理想的なかたちなのですが、たとえばいずれは誰もが頼る可能性の高い介護保険サービスにしても、その申請には複雑で面倒な手続きを要すケースが大半です。
そもそもその制度が必要になった時点で、脳も体も万全ではないのでしょうから、やはりいざとなったときには相談できたり、頼ったりできる誰かがいるほうが安心なのはたしかです。
家族を頼りにできるのであればそれが一番安心かもしれませんが、難しい場合には友人や近所の人の中から、現時点で頼ることができそうな人をリストアップしてみましょう。そして、いざというときには頼りたい旨を伝えておくのも大事です。
なお、頼れる友人もいないし、近所付き合いもないという場合には、介護サービス業者に申請を代行してもらうという手もあります。また、各自治体の「地域包括支援センター」に連絡すれば、向こうから訪問してくれるというケースもあるようなので、誰もリストアップできないからといってむやみに不安がる必要はありません。