人事がスルーしてしまうESの内容

――ここからはさらに広く、就活一般についてのアドバイスをお聞きしていければと思いますが、面接の場で他の就活生と差をつけるにはどうすればよいのでしょうか。

【曽和】引き出しの多い人は魅力的に映ります。

例えば「赤から連想されるもの」というお題に対して、「信号」と答える人は多いですが、「小豆」と答える人は少ないですよね。クリエイティブ職に就く人は特にそうですが、採用担当者にとっていかに意外な答えを返せるかは、周りと差をつけられるポイントでしょう。

また、大人になってくると適材適所という考え方が強くなります。例えば中年での転職などでは、「御社に入って○○が得意になりたい」という変身願望よりも、「○○が得意なので御社で活躍したい」と言われた方が企業はうれしいです。

――そもそも面接にたどり着けない就活生もいますよね。そういった方はESでつまずいているわけですが、ESには何を書けばいいのでしょうか。

【曽和】企業は就活生のファクトを見ています。人事はESに書かれている事実から能力や性格、価値観を類推するわけです。逆に、「私は責任感のある人間です」などと主観による人柄の情報を盛り込む方がいますが、残念ながら人事はそういった部分をほとんど読み飛ばします。事実に立脚していないからです。

厳しい顔で書類を見ているビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

「熱意」より「事実」が大事

そのためESの最低8割は実際の数値や自分が挑戦したことなど、お題に沿った「事実」を記載する必要があります。

企業は就活生が自社についてよく知っているかよりも、皆さんのことを知りたい気持ちが強いのです。だから、「御社について知っています」と下手におもねったり、結論ファーストのシンプルなESを出したりするよりも、読んでいる人がESの内容からあなた個人をイメージできるかどうかに留意して書くことをおすすめします。

曽和利光『コミュ障のための面接戦略』(星海社 e-SHINSHO)
曽和利光『コミュ障のための面接戦略』(星海社 e-SHINSHO)

――それでは、面接で落とされる場合はどうすればいいでしょうか。

【曽和】ここでもファクトが大事です。面接の場で、あなたが具体的な事実ベースで話しているかを振り返ってみてください。

就活生が抽象的な話に終始してしまっている場合、面接官が就活生の話を深掘りして具体的な内容を聞き出してくれるのが理想ですが、現実には就活生の具体的な情報をうまく聞き出してくれる面接官が少ないのです。

また「相手(企業)が欲しがっているものを自分が持っている」アピールができているかも考えてみてください。