そんな中で迎えたご出発の朝。皇居・正門からセンチュリーに乗車されて、両陛下が姿を見せられた。雅子さまは小さく会釈を繰り返されながら、左手を頬の高さまであげて、小刻みに振られていた。いつもよりも控えめな笑顔を浮かべられていたようだ。「全国戦没者追悼式」などでお召しになるスーツを選ばれた。周辺に集まった人は200人以上にのぼっただろうか。桜田門に向かって、両陛下を見送る人々が大勢並んでいた。
ブラックフォーマルの“雅子さまの貫禄”
ロンドンへ到着された両陛下が黒いマスクを着用されていたことは話題を呼んだ。エリザベス女王に対する弔意と、コロナの感染対策への意識のあらわれだったのだろう。だが、ウェストミンスター寺院ではマスクを着用されることなく、素顔を見せられた。外出先で両陛下がマスクを外されているお姿を拝見したのは、実に久しぶりのことだった。モーニングをお召しになった陛下の穏やかなご表情や、雅子さまの静かでいて堂々としたお振る舞いに圧倒された。
雅子さまはブラックのジャケットとスカートをお召しになり、帽子からパンプスまで、喪に服したフォーマルな装いだった。黒はジュエリーの輝きが映える色でもある。
中でも印象的だったのは、雅子さまが身に着けられたブラックのイヤリングとネックレスだ。どちらも大ぶりなデザインで、雅子さまのシンプルなジャケット姿をその場にふさわしく、シックに演出していた。控えめながら、皇后陛下としての貫禄を見せられた。