梅子さんは「姻族終了届」を出している?
ただし、名前が旧姓に戻るだけで、配偶者の死後に離婚する法律はないので、舅や姑ら配偶者の親族との関係は継続します。これを終わらせるには「姻族終了届」を提出する必要があります(民法728条2項、戸籍法96条)。亡くなった配偶者の親族と親しければ関係を終了させる必要はないのかもしれませんが、そうでない場合、関係を断ち切りたいという人は一定数いるでしょう。
「姻族終了届」の提出は、本人の意思だけでよく、配偶者の親族の了解などは必要ありません。姻族終了届を提出しても、亡くなった配偶者の相続は受けられますし、遺族年金の受給にも影響はありません。姻族終了届は、先日上梓した『新おとめ六法』(KADOKAWA)のp214でも解説しています。
梅子さんは、旧姓に戻っていますが、姻族終了届まで提出したかどうかはわかりません。しかし、元夫の家族との縁を切って一人で生活しているようですので、姻族終了届を出した可能性が高そうです。
「生理休暇」にまつわるシーンも象徴的だった
ドラマの中で、寅子は生理痛がとても重く、学生の頃は授業を休んでいました。社会人になってからも、生理痛の重さは変わらなかったのですが、昭和22年に労働基準法で「生理休暇」が規定されたにもかかわらず、我慢して働く様子が放送されました。家庭裁判所が人員不足だったのと、「これだから女は」と言われるのが嫌だった、という理由でした。
「生理休暇」は、生理であれば休める、というのではなく、生理の症状が重くて仕事ができない場合に休暇を取得できる制度です。生理休暇を女性が請求した場合、会社がこれを認めなければ30万円以下の罰金に処せられます。
しかし、令和2年厚生労働省の調査によると、生理休暇を請求したことがある女性はわずか0.9%です。
せっかく休暇制度があるのにほとんど利用されていないのは、生理休暇が有給なのか無給なのかは法律で決まっておらず、会社の方針次第ということも影響しているかもしれません。ただ、「生理休暇」という制度自体を知らない人が大半ではないかと思われます(『新おとめ六法』p155参照)。
法律は自分を守る武器です。梅子さんのように、自分を守るために法律を知ってほしいと思います。