7日に投開票される都知事選の争点のひとつが、再開発。現職の小池百合子氏はタワマンなどの建設に積極的だが、他の首長も推進派が多い。経済ジャーナリストの山下努さんは「自治体はタワマン建設のため1カ所だけで100億~200億円の補助金を出すこともある。こうした東京の富裕住民の優遇策は、日本の中流社会の分解を促進し、“階級化”を進めていく」と警鐘を鳴らす――。

「大規模再開発1カ所で200億円の補助金が出ることもある」

7月7日に投開票される東京都知事選は、現職の小池百合子候補と立憲民主党などが擁立した蓮舫候補らが本命とみられている。

小池氏と蓮舫氏の選挙ポスター
撮影=プレジデントオンライン編集部
2人の候補 選挙ポスターから

東京都内では、以前より23区を中心に国や都の補助金を推進力にしたタワーマンション建設事業が相次ぎ、再開発事業の柱となっているが、この再開発も選挙の争点のひとつとなっている。

小池候補は国際的な都市間競争を勝ち抜くため、東京の都市機能を強化し、3期目はさらにタワマンを含む「再開発」を推進するだろう。一方、蓮舫候補は、特に神宮外苑の再開発は東京都の都市計画や再開発の許認可権や裁量権が大きいことから、都政において再開発行政の見直しを訴えている。

再開発の最前線のひとつが品川区にある。後述する全長800mのアーケードからなる「武蔵小山商店街」(品川区)。これは東京特有の巨大商店街との連結効果を狙ったタワマンだ。

行政はこうした事業を「再開発」と称し、巨額な補助金を注ぎ込む。マイナス金利効果と相まって、コストの高い大手デベロッパーによる再開発プランの物件の高さは天を貫くほどだ。都心の大規模再開発においては「1カ所で100億円の補助金が出ることも珍しくない」(元文化庁技官)のであり、200億円規模の補助金の出た再開発も多数ある。

小池候補だけでなく、23区や多摩地区の自治体などの首長や議会、役所も同様の都市計画を支持することが多く、今後も、公園など公有地周辺における再開発規制の緩和に加え、巨大商店街などとの連結が社会現象となる可能性が高い。

なぜ、小池候補を筆頭に東京都や区・市などの自治体、その議会までタワマン再開発に公的な支援をするのか。