ノート市場で久々のヒット商品が登場した。通称「東大ノート」と呼ばれる、罫線にドットを入れたノートとルーズリーフのシリーズである。
東大ノートといわれる所以は、実際に東大合格生のノート200冊以上を収集し、その使い方を参考にして開発されたため。罫線上のドットは、書き出しの目印や作図の目安として利用できる。実際の合格生のノートの書き出しが、大見出し・小見出しなどの階層ごとに揃えてあって見やすいことなどに着目して、この様式が採用された。一方で、使い方を限定しすぎないよう縦の補助罫などは入れていない。
当初は販売目標を年間7000万円と定めていたが、発売5カ月にして売上高の累計が4億2000万円に達し、予想をはるかに超える大ヒット商品となっている。
「メーンユーザーは学生ですが、社会人の購入も1割前後を占めています」と、同製品の企画担当者であるコクヨS&Tの田畑幸辰氏は言う。
前ページまでで取り上げた実例を見ても、見出しの付け方を工夫したり、項目ごとの区切りを明確にして後から見直しやすく書き込むことが、ノート活用のポイントであることは明らか。とすれば、このようなノートがビジネスマンにとっても使いやすいのは決して不思議なことではない。
「情報の利用の仕方は3段階で、(1)インプット、(2)思考・編集、(3)アウトプットとなります。このうち勉強では(1)が多く、仕事は(2)と(3)が多いのが特徴。(3)になるとノートはあまり関与しません。したがって多くのビジネスマンは(2)でノートを利用しているのではないでしょうか。また何かを勉強しているのであれば(1)が多いかもしれません」と田畑氏。