読者からの投稿に…
相談者は「世界の理不尽に我慢できない」という。ロシアの軍事侵攻、イスラエルのガザへの攻撃、トランプ前大統領の振る舞いについて考えると「絶望的な気分になり、夜も眠れません」。しかし憂えたところで何をするという手立てもなく「だったら新聞報道など見なければよいのですが、社会問題から目を背けるようで気が引けます」という。
海の向こうのことなど気にせず、このまま自分の生活を平穏に送ることだけ考えればよいのか? どのように気持ちを保っていけばよいかという相談だった。
まさしく「なぜニュースを見るのか」論である。理不尽を知ることはモヤモヤするだけでなく怒りを伴うだろうが、でもニュースを見るという姿勢は大事だと思う。権力者は「どうせ庶民は時間が経てば忘れるさ」と高をくくって「無かったことにする」のが常套手段だからだ(裏金問題への対応なんてまさにそうではないか)。なのでニュースを見て思い続けるだけでも有効な手立てだと相談者に声をかけたくなった。
野沢直子氏の回答は?
記事ではタレント・野沢直子氏がアドバイスしていた。「そんなに心配なさっているのなら実際に戦場に出向いて最前線で戦ってくればいい」と。「そんなことを嘆く前に、今自分が幸せなことに感謝して自分の周りにいる人たちを大切にしましょう」とも述べていた。これだと理不尽を実行している側からすればシメシメと思うアドバイスである。選挙に行っても無意味と言う人を見てシメシメと思う人がいるのと同様だ。どうせあなたが憂いても社会は変わらないのだから無駄なことはやめようという囁きにも聞こえる。
私がさらに驚いたのは朝日新聞の藤田直央・編集委員がこの記事にコメントしていた内容だった(デジタル版のコメントプラスという機能で)。
《「そんなに心配なさっているのなら実際に戦場に出向いて…」。野沢さんの回答、ぶっ飛んでいるようで重いです。そこまでしなくても、沖縄に行かれて、本土ではまれな米軍基地と隣り合わせの生活をご覧になればどうでしょう。相談者の方がそこで「不正義や理不尽」を感じたなら、同じ日本人として声を上げるという「手立て」があります。
あ、この相談者の方はそうした境遇の方なのかもしれませんね。そうでしたら誠に失礼しました。》
朝日新聞の「冷笑」
ここまで読者を小馬鹿にする「新聞記者」とは何なのだろう。最後の「そうした境遇の方」って何だろう。理不尽に怒る当事者を冷笑している。同様に違和感を抱いたのはこの記事の「宣伝」にSNS上でいそしむ朝日新聞の人たちでもあった。バズればそれでいいのか?