この場合の賞味期限はあくまで食品・飲料メーカーが決めた「おいしさの期限」なので、「飲んだらお腹を壊すかもしれない期限」とは全く別モノです。少々オーバーしたものを飲んでも全く問題はありません。むしろよほど味に敏感な方でなければ、普通においしく飲むことができます。
かなりシビアな「おいしさの要求基準」
そもそもペットボトル飲料に限らず、日本の各メーカーが設定している食品の賞味期限は、かなりシビアな「おいしさの要求基準」で決まっているケースが多いです。
例えば、生産後3カ月間は食中毒リスクが無い商品であっても、生産後1カ月のテストで「華やかだった○○の香りがちょっと落ちた」とか「甘味と酸味のバランスがちょっと変わった」と判断されれば、賞味期限が1カ月間になったりします。普通に「まだ全然おいしいし安全」だけれど、でき立てと比較すれば風味が少し落ちたという理由で賞味期限が短くなるわけです。
もちろん、賞味期限を過ぎれば割と早くに食中毒の危険が出てくる商品や、酸化反応によって一気に味が悪くなる商品もあるので、なんでもかんでも「賞味期限はもう気にしなくて良い!」という話にはならないので注意してください。
ペットボトル飲料であっても、大昔に賞味期限が切れていて激しく酸化したジュースなどは、(腐ってはいませんが)味の面でも健康の面でも体に良くないのでオススメできません。
飲料を備蓄するなら水がベスト
以上の理由から、防災目的として飲料を長期備蓄する場合は、お茶やジュースではなく「水」がベストです。自分が好きなジュースやお茶を防災備蓄に少し加えておくことは決して悪くありませんが、ミネラルウォーターは酸化や劣化の心配が無い上に、災害時の調理や衛生管理でも必要になりますので、ミネラルウォーターを中心に準備することをオススメしています。
ちなみにミネラルウォーターについては過去に「ボトルの中に白いカビが浮いている」「カビ臭いにおいがする」といった苦情が寄せられて、メーカーが自主回収したというニュースが何度か流れたことがあります。
こうしたニュースを覚えているかたは「賞味期限をオーバーしてミネラルウォーターを備蓄するなんて怖くてできない!」と思われるかもしれません。ですがこの事故は生産設備の洗浄不足などといった「工場生産時のミス」が原因です。元々発生する確率が極めて少ない話ですし、そういった事故が再発しないよう、時代と共に衛生管理の手順が見直されているので、過度に不安になる必要はありません。