一部の有名美容室を除いて、どこの美容室においても「ファッション感度の高い層」は、あまり多くないのです。

そのため美容師は、お客様の「ヘアスタイルにかける時間や労力」は人それぞれであることも認識していますし、ヘアスタイルを毎日完璧に再現できる方が少ない事も、理解しています。「普段ワックス使いますか?」と聞くことで、その人に合ったヘアスタイルを提供できるのです。「お客様のライフスタイルに合わせたスタイル」「苦手でも再現できる簡単ヘア」の方が需要が高いのです。

ワックスを使わない方を「ダサい」と思うことは全くないですし、美容師には「ダサいお客様を卑下する」ようなマインドはそもそもないので、ご気軽にご来店いただければありがたいです。

「前回のカットはいつぐらいですか?」の質問の意図

また、「前回のカットはいつぐらいですか?」という声掛けについてですが、「前回がどれくらいの長さのヘアスタイルだったか」を逆算するためにしています。髪の毛は1ヶ月に1cm前後伸びるのですが、個人差があるので「大体これぐらい」という指標を見ながら、お客様の傾向や好みを掴もうとしています。

「なぜ話しかけてくる?」実は知らない美容師側の心理

美容師からすると、初めてのお客様に声をかけるのには、かなり気を使っています。例えば、「声をかけないでオーラ」を強く感じるお客様には、「深入りしない」のが多くの美容師のアプローチです。

ですが、それでも度々論争になる「美容師話しかけてくる問題」。なぜ美容師は話しかけてしまうのか。そこにも理由があります。

実は昔から、ほとんどの美容室で「お客様に積極的に声をかけなさい」という指導がされています。なぜなら「お客様と仲良くなって、次回のご来店に繋げる」というのが、美容師にとって最もポピュラーなビジネスモデルだからです。

実際、美容師にとって最大の評価軸は「指名客からの売上」です。会社にとって「指名されること」が美容師個人の評価基準になっているため、「繰り返し指名され、多くのお客様を呼び込んだ」ことが、「仕事ができる」と評価されるのです。