ドラマ「セクシー田中さん」の原作者・芦原妃名子さんが急死したことについて、小学館の「社外発信をしない」という方針が批判を集めている。企業のリスク管理を研究する桜美林大学の西山守准教授は「今回の事案は小学館、日テレ、芦原さんなど関係者が多く、現時点では責任の所在が明らかではない。小学館の対応は一理ある」という――。
小学館本社
小学館本社(写真=Akonnchiroll/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

小学館の「社外発信なし」は正しい対応なのか

ドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが急死した件について、小学館が社内説明会を開催、「社外発信する予定はない」という説明があったことが報道され、批判が集まっている。X(旧Twitter)でも「社外発信なし」がトレンド化し、引用を除く多くの投稿は小学館の対応を疑問視または批判するものだった。果たして「対外的な情報発信をしない」というのは、正しい選択なのだろうか?

芦原さんの死去は、関係者のみならず、漫画家、脚本家など、多くのエンターテインメント界の人たちを巻き込んで、大きな波紋を広げている。最大の当事者であった日本テレビ、小学館に説明責任が求められるのは当然のことだ。

しかし、今回の件では、配慮しなければならない特殊事情があることは念頭においておく必要がある。

ある企業の社員がハラスメント行為に遭って自殺をしたというケースであれば、企業は遺族に謝罪と説明を行い、できる限り速やかに事実解明を行い、再発防止策を検討し、社内外に向けてそれを公表する――というのが一般的な対応であり、多くの場合それが適切な対応策でもある。

関係性が複雑で、責任の所在が明らかではない事案

今回の場合はかなり複雑な事情がある。芦原さんは小学館の社員ではないが、小学館が抱える漫画家ではある。しかし、問題の発端は日本テレビのドラマ化におけるトラブルであり、トラブルの責任の所在がどこにあるのか、現時点では定かではない。

人の死が周囲に与える影響は非常に大きい。遺族の悲しみは計り知れない。友人、知人、仕事で関わりのあった人たちも、程度の差こそあれ、同様の思いを抱えるのが一般的だ。関係する人たちの多くは、死を止められなかったことへの自責の念に苛まれる。

対外的な情報発信についても、ひとつ対応を間違うと二次被害を招きかねない。まさに、小学館や日本テレビはこういう状況に置かれている。