父が失踪、発見された場所は…

ケアマネジャーから「1日以上帰宅していない」と連絡があったのが12月半ば。何度か電話をしてようやく繋がると、またもや想像していなかった言葉が飛び出た。

「いま、交番でお巡りさんと一緒にいます」

認知症が進行して、ついに家に帰れなくなったか、と思ったらそうではなかった。警官の説明によると、またもやデリヘルを呼んだところ、事が済んでから丸一日眠りこけてしまったのだが、目が覚めるとお金(タンス預金から持ってきた札束)を入れたカバンが見当たらないというのだ。財布に残っていたお金ではホテル代が払えず、交番に突き出されたというわけである。

再び新横浜へ向かったものの、デリヘル嬢は盗みなんてしてもすぐに足がついてしまうわけで、客のカバンを盗むとは考えにくい。実際、警官がラブホの防犯カメラをチェックした限りでは、デリヘル嬢がカバンを持って出たようには見えなかったとのこと。

とにかくホテル代は払わねばならないので、警官に教えられたホテルへ行くと、フロントのおばさんから、「この前は倒れて大変だったでしょう」と言われる。同じホテルだったのか……お世話になりました。

その後、姉と一緒にタクシーで家まで送り届けたところ、玄関先に件のカバンが。札束も入っている。つまり、カバンを持って外出することを忘れたうえ、カバンを忘れたことも忘れた、ということになる。

この「色ボケジジイ」の行動が落ち着く日は来るのか――絶望が深まるなかで迎えた新年。初詣でも、状況が少しでもマシになることを神様にお願いしていたのだが――。