最も簡単な断続的断食の3つの方法

断続的な断食の最も簡単な方法は、食事の間隔を1日12時間(または10時間や8時間)に制限する時間制限型の断食です。

たとえば、午後6時に夕食を食べ、翌朝6時まで食事を摂りません。食事をしていない12時間の間に、夕食を消化するのに必要な時間が寝る前にとれ、残りの時間は休息と修復に集中することができます。食事の時間が短い断続的断食を実践している人は、1日を遅い朝食ではじめたり、早い夕食で終わらせることもあります。

もう一つの方法は5:2の断続的な断食です。この方法では、週に2日は1日400~600キロカロリーに制限し、残りの5日間は普通に食べます。また、週に1日だけ完全な水断食をする方法もあります。

基本的な12時間の時間制限を超えて継続的な断食を試してみたい場合は、まず医師や医療専門家に相談し、どの方法が自分の身体にとって安全かを確認する必要があります。

断続的断食はDNAの修復能力を高める

断続的断食ががんに与える影響について研究者たちが研究をはじめたのは、ごく最近のことです。初期の研究では、断続的断食が化学療法中に非常に役立つことが示されています。そのような研究の一つで、断続的な断食が神経細胞のDNA修復能力を高め、化学療法によるダメージからDNAを保護し、多くのDNA修復遺伝子のスイッチをオンにすることがわかりました(※5)

別の研究では、断食サイクルががん腫瘍の成長を遅らせ、さまざまな種類のがん細胞を化学治療に対してより脆弱ぜいじゃくにすることが判明(※6)。さらに別の研究では、断食は化学療法に対する患者の反応を高め、その副作用を軽減させることが示されました(※7)

断食に関するある有望な研究の一つでは、早期乳がんの女性(ただし糖尿病を患っていない)約2500人を追跡し、4年間にわたって夕食と朝食の時間を分析しました(※8)。研究者らは、1晩に絶食時間が13時間より短いと、1晩に13時間以上絶食した場合に比べて乳がん再発の確率が36%高くなることを発見しました。さらに、インスリン、慢性炎症、睡眠時間のマーカーは、夜間の断食が長いほどいい影響をおよぼしたのです。

断食を模倣した食事、つまりカロリーの非常に低い食事の効果を理解しようとした研究者(※9)は、100人の健康な人を対象に研究をおこない、ランダムに二つのグループに分けました。一つは制限のない食事をするグループ(対照群)、もう一つは月に5日間連続で低カロリーの断食に似た食事をする以外は制限のない食事をするグループです。

3カ月後、断食を模倣した食事をしたグループでは、体重、総体脂肪、血圧、IGF-1(老化や病気に関する指標)が対照群に比べ大幅に減少し、副作用は報告されませんでした(※10)

これまでの研究で、13時間以上の夜間断食は多くの人にとって安全で有益であり、5:2断食や月に5日間連続のカロリー制限食などの断食は、免疫システムを強化し、がんの成長を遅らせる健康効果をもたらす可能性があることが示されています。