練習から最高のパフォーマンスを発揮する方法

人生で一番いいパフォーマンスをした時、人は下を向いていたでしょうか。きっと上を向いて、前向きな言葉を口にしていたはずです。

つまり、自分が最高のパフォーマンスを発揮できるのは、ポジティブな気持ちの時なのです。そして、ポジティブな気持ちを引き出すのは、ポジティブな態度や表情、言葉なのです。

恐ろしいことに、ネガティブな言葉は、伝染します。

あなたが会社員だとします。月曜日の朝、会社に着いた途端、席の近い先輩が「仕事面倒くせえなあ」とつぶやくのが聞こえたら、きっとあなたのやる気もそがれますよね。それと同じことです。その一方、営業成績がトップクラスの後輩から、「今日は本当にいい天気でやる気が湧いてきますね」と言われたら、あなたも「自分もがんばろう」と思うのではないでしょうか。

意識的にポジティブな言葉を使うことで、塾高の選手たちは練習から最高のパフォーマンスを発揮できるような態勢を整えていたのです。

チーム内のあいさつから生まれた「No.1ポーズ」

試合中、塾高の選手は頻繁にあるポーズを行っていました。ニュースにもたくさん取り上げられたのでご存じの方も多いかもしれません。

彼らが行っていたのは、3本の指を立てるポーズ(3点ポーズ)で、ヒットで出塁した時や、守備のタイムで内野陣が集まったピンチの時にこのポーズをとって気持ちを高め合っていました。

仙台育英を破り107年ぶりの優勝を果たし、喜ぶ慶応ナイン
写真=時事通信フォト
仙台育英を破り107年ぶりの優勝を果たし、喜ぶ慶應ナイン(=2023年8月23日、甲子園)

これをSBT(スーパーブレイントレーニング※)ではNo.1ポーズと呼んでいます。かつて駒大苫小牧高校が甲子園で優勝した瞬間、選手がマウンドに集まって人差し指を天に向かって突き上げたポーズが話題になりましたが、あれもNo.1ポーズです。

※メンタル面を鍛えるために私が塾高野球部員に伝え、彼らが日々の練習や生活の中で主体的に実践し、体得したメソッド。

彼らは全国の頂点に立ったあのシーンだけ、No.1ポーズを繰り出したわけではありません。最初はチーム内のあいさつのポーズのひとつに過ぎませんでした。たとえば、朝、学校で「おはよう」のあいさつをする時、伝令がマウンドで監督の言葉を伝える時など、心をひとつにするという意味も込めて、みんなでNo.1ポーズを行っていたといいます。

常日頃から自分たちの目標と目的を想起し、プラスの感情を引き起こすポーズとして使われているのが、No.1ポーズなのです。